研究課題
基盤研究(C)
海洋性珪藻は地球の一次生産の約20%を担う重要な生き物である。海水温上昇が珪藻の代謝に影響を与える事は知られているが,細胞内構造が変化する現象はほとんど知られていない。申請者は生存限界の高温ストレスを与えた珪藻の葉緑体が数日で矮小化する現象を発見し,その現象がセレン存在下で抑制されることを見出した。本研究は,ストレス下での葉緑体構造の維持管理の仕組みと,セレンが誘導する高温耐性メカニズムの解明を目的とし,多様な観察技術を用いた細胞学的な解析を行う。本研究の成果は珪藻葉緑体とストレスに関する知見を得るだけでなく,人為的な高温耐性能付与による積極的な環境保全技術に繋がる可能性を秘めた研究といえる。