研究課題/領域番号 |
23K05847
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44050:動物生理化学、生理学および行動学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
濱中 良隆 大阪大学, 大学院理学研究科, 講師 (10647572)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 光周性 / 軟体動物 / Caudo-dorsal cell / RNA sequencing / Single-Cell RNA-Seq |
研究開始時の研究の概要 |
ヨーロッパモノアラガイは長日でより多くの卵塊を生む。この光周期依存的な産卵行動の切り替えは脳にある神経分泌細胞CDCの興奮性の切替えで調節される。しかし, CDCに光周期情報を伝える前ニューロンは未だ不明のままである。本課題では, 単一CDCのRNA-Seq及び, 薬理学と電気生理学の併用によって, CDCへ光周期情報を伝達するニューロンを解明する。加えて, CDCの興奮性の切替えにCDCと前ニューロン間のシナプス可塑性が関わる可能性を本種のシナプス関連タンパクの形態学的発現解析で検証する。以上, 長らく不明であった光周期依存的なCDCの興奮性の切替えの機能原理の一端を解明する。
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研究実績の概要 |
淡水産の巻貝であるヨーロッパモノアラガイは産卵行動に明瞭な光周性を示す。本種の産卵行動は長日で促進され、産卵は脳神経節にある神経分泌細胞caudo-dorsal cell (CDC) が合成する排卵ホルモンCDC hormone (CDCH) の分泌によって引き起こされる。このCDCの活動は日長によって調節されており、長日飼育個体のCDCは短日飼育個体のCDCよりも興奮性が高いことが申請者らの研究で明らかになっている (Hamanaka and Shiga, 2021)。この光周期依存的なCDCの興奮性の差を生み出す生理機構を解明するため、私はCDCの前ニューロンに着目した。CDCに光周期情報を送るニューロンは未だ不明であるが、CDCには正体不明のニューロンがシナプス入力することが知られており (Roubos, 1975)、CDCには前ニューロンが放出する神経伝達部物質の受容体が発現すると考えられる。そこで、CDCに発現する神経伝達物質の受容体遺伝子の解明を通して、CDCの前ニューロン候補を特定することを研究の目的とした。方法としては、単一CDCのRNA sequencingでCDCに発現する全 transcriptのデータセットを取得し、その中から神経伝達物質の受容体遺伝子を明らかにする。長日・短日飼育個体からの単一CDCのサンプリング、およびRNA sequencingデータの取得はすでに完了している。今後は、このRNA sequencingデータの解析を通して、CDCに発現する神経伝達部物質の受容体遺伝子を解明する。加えて、長日―短日条件間で発現量の異なる遺伝子を探索することで、光周期依存的なCDCの興奮性の差をもたらす分子基盤の解明も並行して進めて行く。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
単一CDCに発現する全transcriptの配列情報の取得に時間を要しているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、RNA sequencingデータを用いたコンピューターでの発現解析を通して、CDCに存在する神経伝達部物質の受容体遺伝子を解明する。次に、候補となる受容体のリガンド抗体を使って、候補リガンドを発現するニューロンを免疫組織化学法で形態学的に同定する。加えて、CDCニューロンとの二重標識により、両者の神経接続関係を詳細に解析し、機能的な連絡の有無を検討する。また、上記のリガンド分子を細胞内膜電位の記録中のCDCに投与することでCDCに対する生理学的働きを電気生理学的に解明する。以上により、光周期依存的なCDCの興奮性の切り替えに関わる上流ニューロンの正体を明らかにする。
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