研究課題/領域番号 |
23K05884
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小亀 一弘 北海道大学, 理学研究院, 教授 (80215219)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | クシベニヒバ属 / 分類 / 分子系統 / 紅藻 / 種分化 |
研究開始時の研究の概要 |
紅藻クシベニヒバ属について,分子系統学的解析を行うとともに,分子データによる種境界解析を行う。さらに,姉妹群で遺伝距離が小さい種(クシベニヒバAとB)について培養株を用いた交雑実験を行い,その種間の生殖的隔離状況を調べ,分子データによる種境界解析結果を検証する。日本産クシベニヒバ属の種については,事前調査により未記載種および日本新産種の存在が示されており,分子系統学的解析結果に形態観察結果も合わせてそれらの問題を解決し,分類学的提案を行う。
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研究実績の概要 |
本研究課題に関してこれまで本研究室で決定した北海道産クシベニヒバ属のDNA塩基配列に,DNAデータバンクからダウンロードしたDNA塩基配列情報を加え,分子系統解析を行った。その結果,北海道産Ptilota filicina(クシベニヒバ)は,Ptilota filicinaのタイプ産地を含む系統と異なるグループであり,未記載種である可能性が示された。さらに,北海道産Ptilota filicinaは,太平洋産と日本海産の2グループに分けれ,2種を含むことが示唆された。厚岸産のサンプルは,独自の系統を示し,その形態から,千島列島をタイプ産地とするPtilota polydentata Perestenko の可能性が高い。もし,そうであれば,日本新産種となる。Ptilota phacelocarpoides (コバノクシベニヒバ)は,Ptilota filicinaと同一種とされることもあったが,今回の系統解析では,2種は別種であることが示された。北海道産Ptilota asplenioidesは,カナダのブリティッシュコロンビア産のサンプルと遺伝的に別種であることが示唆された。P. asplenioidesのタイプ産地がアラスカであることから,北海道産のものは未記載種である可能性が高い。 クシベニヒバ属の採集を厚田,函館,有珠,室蘭,東静内で行い,分子系統解析,形態観察,培養株の確立の材料とした。分子系統解析のために,DNA塩基配列の決定を進めた。交雑実験に使用するため,クシベニヒバの培養株を確立し,成熟に必要な培養条件を検討した。その結果,クシベニヒバの成熟には,低温条件を経験することが必要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
クシベニヒバでは,核ゲノムのマーカーとしてリボソーム遺伝子のITS領域も用いる計画であるが,同一個体に複数の配列が存在しているようで,塩基配列をうまく決定できていない。また,採集で得られた個体数が期待より少なく,塩基配列を決定した個体数も計画よりも少ないため。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画にあるように,北海道において,クシベニヒバ属の採集を行い,葉緑体ゲノムのrbcLおよびミトコンドリアゲノムのCOI遺伝子の塩基配列の決定を進める。クシベニヒバでは,核ゲノムのマーカーとしてリボソーム遺伝子のITS領域も用いる計画であるが,同一個体に複数の配列が存在しているようで,塩基配列をうまく決定できていない。今後は,配偶体を用いたり,PCRプライマーを工夫するなどして問題解決を目指す。クシベニヒバの交雑実験については,太平洋産と日本海産の培養株を用いて行い,両グループ間の生殖的隔離状況を調べる。培養株が確立でき,また,必要な成熟条件も明らかとなったので,交雑実験を実施する。
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