研究課題/領域番号 |
23K05886
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
福森 啓晶 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (60746569)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 超深海 / 海溝生態系 / 種多様性 / 生物地理 / 腹足類 |
研究開始時の研究の概要 |
最深生態系である超深海は海溝域に存在する高水圧・貧栄養・暗黒の極限環境であり、非常に固有性の高い動物相を有するとされる。より浅い深海平原とは物理環境が大きく異なり、各海溝は地理的に隔離された環境である。一方、各海溝最深部へのアクセスの困難さゆえに底生生物の採集例は限られ、多くの分類群において、その種多様性や海溝間の個体群動態はよくわかっていない。本研究では海溝域の超深海帯底生生物相の固有性を検証するため、腹足類をモデル分類群として、複合的アプローチによる各海溝での種多様性および各種の初期生活史の検討を行い、海溝腹足類相の固有性や海溝間のコネクティビティおよび種多様性創出機構について考察する。
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研究実績の概要 |
地球上で最深の生態系である超深海は高水圧・貧栄養・暗黒の極限環境であり,固有性の高い動物相を有するとされている.超深海生態系は一般的に海溝域(6,500 m以深)に存在し,より浅い深海平原とは物理環境が大きく異なり,それぞれの海溝は地理的に隔離された環境である.一方,各海溝最深部へのアクセスの困難さゆえに底生生物の採集例は限られており,多くの分類群において,その種多様性や海溝集団間の遺伝的交流はよくわかっていない.本研究では,超深海生物学の一般則となっている海溝底生生物相の固有性を検証するため,炭酸カルシウムの殻をもち,超新海域で比較的種多様性の高い腹足類(巻貝)をモデル生物群として,形態・分子生物学的解析などによる各海溝での種多様性および各種の初期生活史の検討を行い,北西太平洋の超深海域における腹足類相の固有性,海溝間のコネクティビティおよび種多様性創出機構を明らかにすることを目的とする.本年度は主に白鳳丸・ゾンネ航海などで得られた超深海性貝類のサンプルを中心に解析を進め,日本の太平洋側に位置する千島海溝・日本海溝における種組成について,形態・分子情報を基に検討をおこなった.また,分散能力の低い直達発生性の腹足類について,遺伝子解析に基づく検討を進め,採集された海溝・地点・深度間における各集団の遺伝構造を比較した.貝類の多くは付加成長する殻をもち,幼生もしくは幼体時の殻が成体になっても残るため,一部の種について,その形態から初期発生様式の推定をおこなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度である本年度は,日本の調査船白鳳丸KH-22-8およびKH-23-5航海・ドイツ調査船ゾンネKuramBio II航海などで得られた超深海性貝類のサンプルを用いて,形態・分子情報を基に日本近海の2海溝(千島海溝・日本海溝)の種組成を比較し,海溝・水深間での共通種を把握することができた.また,主にエゾバイ科貝類を対象に系統解析や生物地理学的解析をおこない,海溝・水深の異なる集団間での差異を検討した結果,北西太平洋の超深海域における種多様性が他地域と比較して高い傾向にあることが考えられた.また,一部の種について,殻の原殻から初期発生様式の推定をおこない,一部分類群では直達発生型の初期発生様式をもつ種が多く含まれることが示唆された.以上の理由から,全体的におおむね順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は引き続き,海溝間での種組成や遺伝的集団構造を把握するために,遺伝子情報を用いた系統解析を実施する.一部の分類群については,高精度のマーカーを用い,集団間のコネクティビティや海溝への進出を検討する.加えて,各種の初期発生様式を検討する.
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