研究課題/領域番号 |
23K05898
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
長太 伸章 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, 特定研究員 (70533264)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | ミトコンドリアゲノム / 次世代シーケンサー / DNA抽出 / 蝶類 / 鳥類 / 標本DNA / 分子系統 / 集団遺伝 / 絶滅危惧種 |
研究開始時の研究の概要 |
種が絶滅したり絶滅危惧に追い込まれたりする要因の解明において、DNA情報を利用した分子系統解析や集団遺伝解析に基づく種の系統的起源や遺伝的多様性の変遷の解明は基盤的に重要である。しかし絶滅危惧種は保全上の制約からDNA解析のための新規標本を得ることが難しく、絶滅種においてはそもそも新規標本を得ることができない。一方で、博物館や大学などの研究機関に収蔵されている標本にはこれら絶滅種や絶滅危惧種の標本も含まれている。本研究では標本の微量組織からの標本DNA解析方法を確立し、確立した方法を使用して絶滅種の標本DNAの系統的起源の解明と遺伝的構造の特徴について解明するとともに、その有効性を検証する。
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研究実績の概要 |
種が絶滅したり絶滅危惧に追い込まれたりする要因の解明において、DNA情報を利用した分子系統解析や集団遺伝解析に基づく種の系統的起源や遺伝的多様性の変遷の解明は基盤的に重要である。しかし絶滅危惧種は保全上の制約からDNA解析のための新規標本を得ることが難しく、絶滅種においてはそもそも新規標本を得ることができない。一方で、博物館や大学などの研究機関に収蔵されている標本にはこれら絶滅種や絶滅危惧種の標本も含まれている。本研究では標本の微量組織からの標本DNA解析方法を確立し、確立した方法を使用して絶滅種の標本DNAの系統的起源の解明と遺伝的構造の特徴について解明するとともに、その有効性を検証することを目的としている。本研究では研究対象として鳥類および鱗翅目を研究対象とする。その中でも鳥類は中部地方の山岳地帯に生息するライチョウを、鱗翅目は蝶類を対象とした。蝶類は絶滅危惧種から普通種まで様々な年代の標本が比較的豊富であり、さらに解析可能な組織量が少ないため、微量組織からの標本DNA解析方法の確立に適している。1950年代から2023年までの展翅乾燥標本から脚をはずし、粉砕した後にタンパク質溶解液で処理した場合と粉砕せずにタンパク質溶解液で処理した場合を比較した。その結果、収量に若干の差はあるものの脚を粉砕せずそのままタンパク質溶解液で処理しても次世代シーケンサーで解析するためのライブラリ作成が可能なDNAを得ることができた。また、ライチョウでは75年以上経過した戦前の標本からもライブラリ作成可能なDNAを得ることができた。作成に成功したライブラリを次世代シーケンサーで解析し、複数のミトコンドリアゲノムについて分子系統解析を行うのに十分な完全長配列または部分配列を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はDNA抽出方法の確立を重点的に行い、50年以上前の標本からもある程度の成功率で解析可能なDNAを得ることができた。そして一部標本についてはミトコンドリアゲノムの解析も行うことができた。一方で、絶滅危惧種の系統解析を行うのに十分な標本の解析までには至らず、核ゲノムの解析も検討するにとどまった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は本年度にある程度確立できた標本からのDNA抽出方法を活用して、絶滅危惧種の系統を解明するために必要な近縁種のサンプルの実験を進め、ミトコンドリアゲノムを基にした系統解析を行う。さらに核ゲノムの解析のための検討を進め、ゲノムワイドSNPなどの解析についても進める。
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