研究課題/領域番号 |
23K05902
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
片山 なつ 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (20723638)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 発生制約 / 被子植物 / 胚発生 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、被子植物の一部の分類群において、根を喪失したことが地上部器官であるシュート系の形態多様化を引き起こした可能性について検証する。材料にはカワゴケソウ科とタヌキモ科を用い、胚発生における根端分裂組織(RM)の喪失が、茎頂分裂組織(SAM)形成の発生制約の解放の引き金となった可能性について、進化発生学的解析と分子進化学的解析により形態レベルと遺伝子レベルにおける制約の解放を検証し、発生制約解放のメカニズムを探る。
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研究実績の概要 |
本研究では、劇的なボディプランの進化をもたらした胚発生過程の変更を明らかにすることを目的とし、被子植物の中で逸脱形態を獲得しているカワゴケソウ科とタヌキモ科を用いて、進化発生学的解析と分子進化学的解析を行なう。第一年度は、タヌキモ科植物の胚発生観察を行なうために、まずは植物の栽培環境の構築を行なった。タヌキモ科3属(ムシトリスミレ属、ゲンリセア属、タヌキモ属)の植物を入手し、各属少なくとも1種について、開花から結実までの栽培に成功した。開花後から果実成熟までの段階から胚珠と種子を採集し、胚発生段階を網羅するようにサンプルを取得した。これらサンプルについて、共焦点レーザー顕微鏡観察のための透明化条件の検討を行なった。種子の成熟に伴い、デンプン粒が蓄積されたため、透明化条件の検討に時間を要したが、Cleaseeαを用いた透明化法で胚の透明化に成功した。第一年度は詳細な胚発生過程の解明までは至らなかったが、タヌキモ科タヌキモ属のイトタヌキモとコトリノミミカキグサについては予備的結果を得ることができた。これら2種においては、茎頂分裂組織は他の被子植物やカワゴケソウ科植物とも大きく異なる過程で生じており、本科あるいは本属で特有の茎頂分裂組織の形成様式をもつことが示唆された。また、先行研究と同様に根端分裂組織の形成は観察されなかった。第二年度以降、引き続き観察を行い、タヌキモ科3属における胚発生過程を明らかにし、本科における胚発生の進化過程を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の途中で異動があり、異動先の研究室でのセットアップを行う必要があった。一方で、異動後の研究室において、植物の収集や栽培環境の構築は順調に進み、形態観察をスタートさせることができた。共焦点レーザー顕微鏡をもちいた観察に必要な胚珠や種子の透明化についても成功し、胚発生観察の事前準備が整った。
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今後の研究の推進方策 |
第一年度にタヌキモ科植物の収集や形態観察条件が整ったため、次年度は本科3属の胚発生の詳細を解明のため、形態観察と遺伝子発現解析を行なう。 また、カワゴケソウ科とタヌキモ科の両科において、分子進化学的解析により、胚発生に関わる遺伝子について選択圧の検出や有害変異の蓄積を調査し、選択圧から解放された遺伝子群を特定し、遺伝子レベルで発生制約解放が起きた段階を推定する。
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