研究課題/領域番号 |
23K05905
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 毅 京都大学, 総合博物館, 助教 (20711485)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 集団史 / 形態 / ゲノム / ニホンザル / 系統地理 / ボトルネック / 頭蓋 / ほぼ中立説 |
研究開始時の研究の概要 |
島嶼や辺縁で小集団が隔離されることは、多様性進化の主要な要因の一つと考えられている。しかし、集団の隔離や縮小が、実際にゲノムと表現型にどのような影響を及ぼすのかについては、十分に理解されていない。生物進化の普遍性を理解するために、またヒトの進化を理解するための比較対象として、ヒト以外の霊長類を対象とする研究例の蓄積が期待される。本研究は、極度のボトルネックを経験したと考えられているヤクシマザル(ニホンザルの屋久島亜種)を例にとり、集団ゲノム解析によりその集団史を高解像度に推定した上で、ゲノムと形態にどのような変化が生じているかを評価する。
|
研究実績の概要 |
本研究は、強いボトルネックを経験したと考えられているニホンザルの屋久島集団を例にとり、集団の隔離と縮小がゲノムと形態にどのような影響を及ぼすのかを理解することを目的とする。2023年度は、屋久島集団の比較対象として、青森県下北半島と大分県高崎山のニホンザル計4サンプルを全ゲノムリシーケンスに供した。これまでに得られていた屋久島とその他の集団のシーケンスデータと合わせて、クオリティのコントロール、参照ゲノム配列へのマッピング、多型の探索を行なった。結果、被覆率30以上の良好なデータが得られ、集団遺伝学的解析に向けた準備を整えることができた。屋久島集団を含む日本各地のニホンザル332個体のCTデータから、頭蓋と下顎のサーフェスモデルを生成した。得られたサーフェスモデルを元に、計測誤差を評価するために各標本から2回ずつ標識点データを取得した。また、関連する研究として、ニホンザルと外来種タイワンザルの交雑群を対象に、交雑が頭骨の出生後の個体発生アロメトリーに与える影響を評価した。交雑によって、頭蓋と下顎の形態の個体発生アロメトリーはほぼ相加的に推移することが示された。個体発生アロメトリーの方向にわずかな変化が認められたが、形態の差異や超越分離の程度は個体発生過程を通じてほとんど変わらなかった。一方、上顎洞の個体発生アロメトリーは非相加的な様相を示した。これらの結果をもとに交雑による形態多様化の遺伝的・発生的要因について考察し、学術誌Evolutionに論文を発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全ゲノムリシーケンスに供するサンプルの使用許可を得るための手続きに予想以上に時間がかかったため、ゲノム解析の進捗に遅れが生じた。一方、CT画像の処理と形態データの収集は予定よりも早く終えることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
頭蓋と下顎の標識点データ用いて幾何学的形態測定解析を実施し、集団内と集団間の形態変異を評価する。ゲノム多型データを用いて集団遺伝学的解析を実施し、集団史の推定とアリル頻度スペクトラムの集団間比較を行う。
|