研究課題/領域番号 |
23K05912
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
柿嶋 聡 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 講師 (30648580)
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研究分担者 |
奥山 雄大 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究主幹 (40522529)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 種分化 / 送粉 / 花香 / 系統 / サトイモ科 / 擬態花 / 分類 / 収斂進化 |
研究開始時の研究の概要 |
サトイモ科テンナンショウ属は、花香によって送粉昆虫を騙して誘引すると考えられている植物である。その中でもマムシグサ節は日本固有種が多数知られていることから、日本列島で多様化したと考えられている。しかし、個体変異や地域変異が大きく、分類は混乱しており、マムシグサ節がどのようにして多様化してきたのか不明である。本研究では、ゲノムワイドSNP解析をもとに系統を推定した上で、送粉者や花序形態の比較、花香成分の分析などを行い、マムシグサ節の多様化メカニズムを明らかとし、より生物学的な種の実体に合った分類体系を構築する。
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研究実績の概要 |
サトイモ科テンナンショウ属は、花香によって送粉昆虫を騙して誘引すると考えられている植物である。その中でもマムシグサ節は日本固有種が多数知られていることから、日本列島で多様化したと考えられている。しかし、個体変異や地域変異が大きく、分類は混乱しており、マムシグサ節がどのようにして多様化してきたのか不明である。予備的な系統解析の結果、多系統となる種が多数あり、種同定に用いられる特徴的な花序形態が平行進化したことが推定された。一方、これまでの研究で、種間の生殖隔離として、送粉者の違いが重要であり、種特異的な送粉者の誘引には花香が重要であることが示唆された。以上から、(1)花序形態と花香が送粉者に適応した結果、収斂進化が生じた「収斂進化説」、(2)花序形態は送粉者の誘引にはあまり関与せず、花香成分の進化が種分化を促す「花香進化説」の2つの仮説が考えられる。これらの仮説を検証することで、マムシグサ節の多様化メカニズムを明らかとし、より生物学的な種の実体に合った分類体系を構築することを目的として研究を進めている。このような仮説を検証する材料として、系統解析で単系統群とされたグループに注目して研究を進める必要があることから、オオマムシグサ種群やヒガンマムシグサ群などを対象として研究を進めている。オオマムシグサ種群については、野生絶滅状態であったヤマグチテンナンショウの再発見を契機として、シノニムとされていたイズテンナンショウとの形態の比較を行い、両種が別種であることを示し、発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
仮説を検証するために必要なデータを順調に取得している。また、オオマムシグサ種群の進化を探るための基盤的な研究となる、形態比較をベースとした分類学的な論文を発表した。
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今後の研究の推進方策 |
オオマムシグサ種群やヒガンマムシグサ群など特定のグループについて、系統解析・集団遺伝解析を行うとともに、野外集団における送粉者調査、花序形態の比較、GC-MSによる花香成分の分析を行うことで、「収斂進化説」および「花香進化説」を検証していく。
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