研究課題/領域番号 |
23K05913
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
細矢 剛 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 部長 (60392536)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 水生不完全菌 / Ingoldian fungi / 胞子 / 採集 / 分離 / 水泡 / バーコード配列 / 生態的多能性 / 系統解析 / ビョウタケ目 / 進化 / バーコード |
研究開始時の研究の概要 |
水生不完全菌は、河川・湖沼などの水中生活に適応した特徴的な形態の分生子を形成する。世界的に普遍的に分布し、少数の種からなる生態群である。その大部分は、子嚢菌類のビョウタケ目の無性生殖時代であるが、そのどのグループと系統的関係が深いかは詳細に解明されていない。ビョウタケ目には大きな傾向として、有柄で植物病原性・腐生性のものから、無柄で腐生性・植物内生にむかう進化傾向がある。本研究は、国内で得た水生不完全菌をビョウタケ目のデータともに分子系統学的に解析し、どのようなグループから進化したのかを解明するとともに、有性生殖時代の培養を用いて実験的な手法で無性生殖時代の誘導を試み、進化生態学的に考察する。
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研究実績の概要 |
本年度は、採集~培養の作業の確立するための条件を検討した。まず、近傍の河川にて水泡を採集し、現場で凍結して保存し、送付後解凍する方法を試みたが、水生不完全菌の胞子はまったく発芽しなかった。そこで、現地での採集直後の分離が必要と考え、現場付近の宿泊先などでの単胞子分離に切り替えた。分離した胞子は、すぐに培地を仕込んだ2mlのプラスチックチューブに入れ、研究室に送付した。1週間後、これをプレートに展開し、一部を試験管培地に移植するとともに、培養を継続し、DNA配列の解析などを行う方法を考案した。この方法は、成功率も高いため、しばらくこの方法によって、分離を継続した。この結果、国内の5箇所で採集を行い、約100株を取得し、常法によってバーコード配列を取得した。次に、形態的な同定のため、胞子形成の誘導法を検討した。水生不完全菌類は、比較的栄養源の乏しい培地で胞子形成が促進されることが知られている。また、一般的に菌類の胞子形成のためにはUV-A(比較的波長の長い紫外線、ブラックライト)が有効ため、三浦培地に接種してUV-Aを照射しながら水中で培養する方法を検討した。この方法による胞子形成誘導は良好で、当面、本法により、培養を行うこととした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおりの進捗である。ただし、出張費がかさむため、他の出張と合わせて採集を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
分離から培養に至る基本的な方法はほぼ確立したので、次はこの方法によって南方・北方などの遠隔地での採集を行い、引き続き菌株を取得する。初期の成果については、夏頃開催されるInternational Mycological Congress 12 (IMC12)で発表する。また、既存の株に上記の胞子形成の方法を適用し、形態学的な同定についてサポートを得たい。一方、バーコード配列については、今後さらに増加するものと考えられるので、バーコード情報からのアプローチについても方法を検討する。具体的には、1)同一あるいは極めて近いバーコード配列の検出とグループ化の処理、2)既知の海外産の配列との比較、3)バーコード以外の配列に基づいた系統解析、である。
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