研究課題/領域番号 |
23K05927
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
米谷 衣代 近畿大学, 農学部, 准教授 (50618593)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 昆虫群集 / 情報科学物質 / フィードバック系 / 時系列解析 / 多変量解析 |
研究開始時の研究の概要 |
複雑な生態系の中で植物が、物理環境因子(気温や光など)と生物環境因子(昆虫群集)に動的に応答して生産する多様な揮発性物質の中から、多種多様な昆虫の行動と相互作用を変えることで昆虫相互作用網全体の制御を担う「情報化学物質」を探索・特定することを目的とする。そこで、植物上に初期状態の異なる昆虫相互作用網を形成させ、動的な自然条件下で網羅的に情報化学物質、昆虫群集、物理環境の継続的な計測を行う。得られた膨大な情報に対して非線形解析(EDM)、Feedback理論などのデータ解析手法を駆使して分析を行い、昆虫相互作用網の制御の鍵となる情報化学物質および、その分子を制御する因子を探索する。
|
研究実績の概要 |
【目的】複雑な生態系の中で植物が、物理環境因子(気温や光など)と生物環境因子(昆虫群集)に動的に応答して生産する多様な揮発性物質の中から、多種多様な昆虫の行動と相互作用を変えることで昆虫相互作用網全体の制御を担う「情報化学分子」を探索・特定することを目的とする。【方法】単純化した系を用いて、一定条件下で行われていた従来の情報化学物質を介した生物間相互作用研究とは対照的に、植物上に初期状態の異なる昆虫相互作用網を形成させて不安定な自然条件下で網羅的に情報化学物質、昆虫群集、物理環境の継続的な計測を行う。得られた膨大な情報に対して非線形解析(EDM)、Feedback理論などのデータ解析手法を駆使して分析を行い、昆虫相互作用網の制御の鍵となる情報化学物質および、その分子を制御する因子を探索する。【今年度の研究内容】今年度は、2022年4月から6月にかけて、セイヨウアブラナ上に形成される節足動物と情報化学物質を2日に1度、計37回調査分析したデータを元に群集組成や動態の解析および、揮発性物質の同定を行った。【今年度の業績】これらの解析結果の一部を日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会合同大会で口頭発表した。また、揮発性物質が情報化学物質として、節足動物の行動を制御する実例として、天敵資材として生物的害虫防除に利用されているタバコカスミカメの行動制御に関わる植物の揮発性物質に関する論文を国際専門誌で発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、2022年4月から6月にかけて、セイヨウアブラナ上に形成される節足動物と情報化学物質を2日に1度、計37回調査・分析したデータを元に群集組成や動態の解析および、揮発性物質の同定を行った。2022年に行った実験の揮発性物質の定量、定性により、予想よりもセイヨウアブラナから捕集できた化合物の量が少ないことが明らかになった。この原因として、通常は植物1株から放出された揮発性物質を捕集するところ、3株をまとめて捕集したために、植物を覆う袋が大きくなり、揮発性物質を集めるために吸引する空気の体積が多くなったが、捕集時間が1時間と十分でなかったことが原因である可能性がある。また、セイヨウアブラナの放出する揮発性物質はそもそもあまり多くないことも原因だと考えられる。この問題が明らかになっため、やや遅れているを選択した。
|
今後の研究の推進方策 |
揮発性物質の捕集方法を改善し、2024年度も野外実験を行うと同時に、2023年度に解析した群集動態と同定した揮発性物質の動態との関係を非線形解析(EDM)、Feedback理論などのデータ解析手法を駆使して解析を進める予定である。また、2023年度は揮発性物質の放出量がアブラナよりも多いことが知られているヤナギ植物を用いて、その上に形成される昆虫群集と情報化学物質との関係に注目して野外調査を行う。ヤナギ植物に食害処理、未処理、食害を受けた植物の揮発性物質需要処理の3処理を行い、初期状態の異なるヤナギ上に形成される昆虫群集の動態と揮発性物質組成の動態との関係を調べるためのデータ収集を行う。
|