研究課題/領域番号 |
23K05928
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
伊藤 江利子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (20353584)
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研究分担者 |
菊地 賢 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (10353658)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | カンボジア / フェノロジー / 季節性熱帯 / 季節性熱帯林 / 展葉 / 遺伝解析 / 適応形質 |
研究開始時の研究の概要 |
カンボジアの季節性熱帯落葉林においてシクンシ科モモタマナ属 Terminalia alata 形態異型(無毛型・有毛型)を研究対象とする。無毛型の特異的な遅延展葉現象が、どのような適応的意義を有し、いかなる条件下で成り立つのかは不明である。そのため、無毛型の複合形質を遅延展葉戦略として捉え、その成立条件とともに包括的に明らかにすることを目的とする。このために、まず、遅延展葉戦略が成立する立地を二型の個体群動態および林況調査により明らかにする。次に、二型間の形質値を比較して、遅延展葉戦略を構成する複合適応形質を定量的に明らかにする。最後に、遺伝解析により二型の遺伝的分化状況を解明する。
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研究実績の概要 |
季節的な水分可給性の変動が生育制限要因となる熱帯季節林においてフェノロジーは重要な環境適応能力である。しかし熱帯季節林では最乾季の展葉現象が広範に認められる。この現象は季節性熱帯の「パラドックス」として関心を集め、その適応的意義が議論されてきた。一方で、カンボジアの季節性熱帯落葉林では特異的に遅れて雨季に展葉するシクンシ科高木種の形態異型(無毛型Terminalia alata)が存在する。季節性熱帯における特異的な葉群動態フェノロジーである遅延展葉の適応的意義をその成立条件や遺伝的基盤とともに包括的に明らかにするため、Terminalia alata 形態異型(無毛型・有毛型)を対象とし、葉緑体matK領域における遺伝的差異の有無および雨季中盤における繁殖状態を調べた。2010年に設定した面積4ヘクタールの毎木調査プロットからT. alata 二型および同属近縁種のT. chebula、T. corticosaの約350個体から成熟葉を採取して遺伝解析に供するとともに、採取時における繁殖状態を記録した。また、林床植生量を推定するためのUAV写真測量を実施した。葉緑体matK配列ではT. alata二型は全個体が同一の配列を持ち、その配列はデータベースのT. alataと一致した。ただし、matKは変異性が低いため、有毛型と無毛型がT. alataの中の異なる系統かどうか、ならびに二型間の遺伝的交流の有無は他の遺伝解析手法により検討する。雨季中盤8月初旬の開花結実状態は、通常(乾季)展葉の有毛型が未熟果、遅延(雨季)展葉の無毛型が開花中と明瞭に分かれたが、ごく少数の有毛型個体が開花中であった。以上から、二型は系統的に同一であり少なくとも別種ではないことが示され、また開花期のずれによる時間的な生殖隔離は完全には機能していないことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた試料およびデータはおおむね順調に取得できた。
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今後の研究の推進方策 |
樹木個体の動態指標(成長率・死亡率・加入率)の種間差と空間変動を明らかにする。樹高成長の二型間差を明らかにする。また、核SSRを用いた遺伝子多型解析により、二型間の遺伝的差異を明らかにする。
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