研究課題/領域番号 |
23K05936
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
松山 周平 酪農学園大学, 農食環境学群, 准教授 (30570048)
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研究分担者 |
伊東 明 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (40274344)
名波 哲 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (70326247)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | アポミクシス / MIG-seq / SNPs / 遺伝距離 / 無性生殖 / 外来種 |
研究開始時の研究の概要 |
「有性生殖のパラドックス」の解明のために、数十から百数十年スケールの進化速度を定量する方法を確立する。進化速度の基準とするために、本課題ではアポミクシス性植物を対象とする。 日本への侵入時期が分かっているアポミクシス性の外来植物(セイヨウタンポポ、コウリンタンポポ、ハイコウリンタンポポ)について、日本と原産地である欧州の集団について多座のSNPを比較し、起源集団からの遺伝的変異の大きさ(起源集団からどのくらい遺伝的変異を蓄積したか)を定量し、各種の日本への侵入からの経過時間との対応関係からアポミクシス植物における遺伝的進化速度の定量を試みる。
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研究実績の概要 |
自然条件下におけるアポミクシス植物の遺伝的進化速度を定量することを目的に、日本への侵入時期の異なるアポミクシス植物3種(セイヨウタンポポ、コウリンタンポポ、ハイコウリンタンポポ)について、(1)日本への侵入時期の違いとクローン型の多様性の関係を調べる。3種のアポミクシス植物はセイヨウタンポポ、コウリンタンポポ、ハイコウリンタンポポの順に日本に侵入してきたとみられており、侵入順とクローン型の多様性に対応関係があるかどうかを調べる。また、原産地から日本へのたびたび侵入があったためにクローン型の多様性が高い可能性もあるため、(2)日本と原産地のクローン型の類縁関係を調べる。 (1)アポミクシス性外来植物3種のクローン型多様性を調べるため、北海道および本州の複数地点に生育するコウリンタンポポ(以下、コウリン)228個体、ハイコウリンタンポポ(以下、ハイコウリン)95個体を得た。このうち、コウリン211個体、ハイコウリン65個体についてMIG-seq法によるシーケンシングを行い、SNPs遺伝子座(コウリン588座、ハイコウリン585座)を用いてクローン判別を行ったところ、コウリンは31クローン、ハイコウリンは10クローンに分かれた。2種を用いた予備的な解析であるが、対象種のうち2種はMIG-seq法によるシーケンシングとSNPs解析によりクローン型の多様性を評価できるとみられる。 (2)ドイツの研究協力者と準備を進め、ドイツといくつかの周辺国の集団から試料を採取する計画を立てるとともに、渡航先でDNA抽出、フローサイトメトリーを行う準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度には、文献やSNSにある分布情報をもとに、北海道および本州の多数の地点を探索し、コウリンタンポポ228個体、ハイコウリンタンポポ95個体の試料を採取した。セイヨウタンポポはこれまでに各地で採取してきた試料が利用できる状況にあり、分析に必要な国内の試料は概ね集めることができた。 試料の一部をMIG-seq法でシーケンシングし予備的にクローン判別を行ったところ、クローン判別が可能であることが分かり、シーケンシング方法、解析方法に関する方針が固まった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年2月より渡欧し、ドイツの研究協力者と試料採取の準備を進めており、ドイツと周辺国の複数地点で試料を集められる見込みである。 ドイツ国内ではハイコウリンタンポポの有性生殖系統(4倍体)が報告されている。有性生殖系統とアポミクシス系統(5倍体または6倍体)を区別するために、フローサイトメトリーによる倍数性判別を行う。 ドイツで試料からのDNA抽出を行い、帰国後に国内の試料と共にMIG-seq法によるシーケンシングを行う。
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