研究課題/領域番号 |
23K05937
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
|
研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
宮崎 智史 玉川大学, 農学部, 教授 (20547781)
|
研究分担者 |
藤岡 春菜 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 助教 (40943535)
林 良信 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 講師 (70626803)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 蟄居型創設 / アリ / 女王 / 育児 / 胸嚢 / 女王アリ / 進化 / トビイロケアリ |
研究開始時の研究の概要 |
アリの多くはコロニーを創設する際、 女王アリが自身の組織を餌資源へと作り変えることで巣外に採餌に出る必要がなく (蟄居型創設)、単独でも安全な育児を可能とする。この育児戦略の獲得はアリの系統進化において重要であったが、餌資源の生産機構やその進化過程は未解明である。 本研究ではまず、派生系統で獲得された育児戦略の至近機構を明らかにするため、モデル材料を用いて給餌物の組成を調べ、その給餌物生産を司る至近機構を解明する。さらに複数の祖先種と派生種に対しても同様の解析を行い、餌生産機構の進化過程を解明する。
|
研究実績の概要 |
トビイロケアリの蟄居型創設女王は6週間に及ぶコロニー創設の過程で、少なくとも3-6週目に、胸嚢に黄色の液体を貯蔵していることを明らかにした。そのコロニー創設の過程で創設女王の胸嚢から貯蔵液体を実験的に除去したところ、子供の数が減少した。この結果は胸嚢に貯蔵された液体の除去が育児に負の影響を及ぼすことを意味しており、胸嚢貯蔵物が幼虫の餌として利用されるとする仮説を支持するものであった。この研究成果は日本昆虫学会第84回大会・ 第68回日本応用動物昆虫学会 合同大会にて報告された。また、除去した胸嚢貯蔵物の成分分析の準備を進めている。 蟄居型創設過程を通したトランスクリプトームデータを取得することができ、それらのデータ解析も進めている。 蟄居型創設種の比較対象となる非蟄居型創設種の中から、モデル種の一つとしてヒメアギトアリを選定した。その繁殖様式を調べたところ、少なくとも飼育条件下では新女王が未受精のままメスを生産することが確かめられた。これはアリ科 (Foricidae) の雌性単為生殖としては20例目の報告例であり、ハリアリ亜科 (Ponerinae) としては2例目、ハリアリ亜科の95%の種を擁する主要なグループであるPonerini族としては初めての報告であった。この研究成果をまとめた論文はAsian Myrmecology誌に掲載された。またこの研究成果は、ヒメアギトアリは新女王を未受精のまま隔離することで非蟄居型創設を誘導できる可能性を示している。ほとんどのアリ種において人工条件下での交配が容易ではないことを考慮すると、この方法は本研究課題を推進する上で非常に有効であると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに研究を進められているため。
|
今後の研究の推進方策 |
トビイロケアリについてのトランスクリプトーム解析とプロテオーム解析を引き続き進める。 また、同じ蟄居型創設種であるクロオオアリ、非蟄居型創設種であるヒメアギトアリについても創設過程における組織形態学的解析、胸嚢貯蔵物の除去実験、トランスクリプトーム解析などを実施する。
|