研究課題/領域番号 |
23K05940
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
上船 雅義 名城大学, 農学部, 教授 (90559775)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 生物間相互作用 / 光波長 / 視覚反応 / 天敵昆虫 / 探索行動 |
研究開始時の研究の概要 |
食害を受けた植物が放出する嗅覚シグナル(匂い)が創出する生物間相互作用の理解は深まり、生物間相互作用に関する研究は数多くある。一方、食害を受けた植物が放出する視覚シグナルが創出する生物間相互作用の理解は浅く、LEDを用いた天敵昆虫や害虫の視覚研究は増えてきているが、生物間相互作用の研究まで発展していない。天敵昆虫や害虫の光に対する反応とあわせて植物が放出する光シグナルの生態学的な意義を理解できれば、植物由来の光を介した全く新しい生物間相互作用を提示し、匂いが創出するとされている植物-植食者-天敵の三栄養段階における生物間相互作用の研究を新たな方向へ導くことができる。
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研究実績の概要 |
植物が食害特異的な光シグナルを放出するのか明らかにするために、健全トウモロコシ葉とアワヨトウ2、3齢幼虫に1日間食害されたトウモロコシ葉の波長スペクトルを紫外域から赤外域まで測定した結果、紫外域から赤色波長域付近まで食害葉の食害部位は健全葉の健全部位よりスペクトル強度が強く、トウモロコシ葉は食害特異的な波長スペクトルの光を発していることが明らかとなった。さらに、健全インゲンマメ葉とナミハダニに5日間食害されたインゲンマメ葉の波長スペクトルも測定した結果、ほとんどの波長域で食害葉の食害部分は健全葉の健全部分よりスペクトル強度が強く、インゲンマメ葉も食害特異的な波長スペクトルの光を発することが明らかとなった。 光波長とその強度が天敵昆虫の光シグナルに対する反応に与える影響を明らかにするために、空腹度の異なるカリヤコマユバチ雌成虫(6時間空腹、2時間空腹、満腹)を用い、3段階の光強度(低、中、高)の青、緑、黄、赤の各LED光に対する反応を調べた。その結果、緑色光と黄色光に対して雌成虫は、空腹度と光強度の条件に関わらず反応し、誘引された。青色光に対する雌成虫の反応は空腹度が低くなるにつれ強まり、6時間空腹時は光強度高の光のみ、2時間空腹時は光強度中と高の光、満腹時はすべての光強度の光に誘引された。赤色光に対する雌成虫の反応は、すべての空腹度と光強度の条件で見られなかった。これらの結果から、カリヤコマユバチの視覚反応には光波長だけでなく、光強度と空腹度が影響を及ぼすことが分かった。さらに、コナガコマユバチ雌成虫を用いて同様の実験を行ったところ、本種雌成虫は、緑色光と赤色光は同属のカリヤコマユバチ雌成虫と同じ反応を示したが、青色光と黄色光に対しては、光強度と空腹度の条件によりカリヤコマユバチと異なる反応を示し、同属であっても寄生蜂は視覚反応が異なることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたトウモロコシとアワヨトウ幼虫の系だけでなく、インゲンマメとナミハダニの系も追加して、植物が食害特異的な光シグナルを放出することを明らかにした。また、天敵昆虫の光に対する反応も、紫外線の光に対する成果は出せていないものの、計画していたカリヤコマユバチに加え、同属のコナガコマユバチに関しても研究成果を出せた。これらのことから順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
植物の食害特異的な光シグナルの調査においては、食害を受けた植物の食害部位や健全部位などの部位別に波長スペクトルを評価していく。また、アワヨトウ幼虫の波長スペクトルも測定し、植物の波長スペクトルと比較していく。カリヤコマユバチとコナガコマユバチの視覚利用が異なることが明らかになってきたことから、コナガコマユバチの寄主であるコナガが食害するアブラナ科植物も波長スペクトルも評価することを計画に新たに加える。 天敵昆虫の光対する反応については、紫外線のLED光に対するカリヤコマユバチで反応を調べていく。また、満腹時と空腹時に反応した光波長のLEDを用いて、光強度の強弱にかかわらず特定の波長をカリヤコマユバチが選好するかどうかを調べていく。
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