研究課題/領域番号 |
23K05945
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
秋田 鉄也 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(横浜), 主任研究員 (60625507)
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研究分担者 |
印南 秀樹 総合研究大学院大学, 統合進化科学研究センター, 教授 (90444140)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 家系生態学 / 近親標識再捕法 / CKMR / IBDセグメント / 機械学習 / 近親判別 / 半いとこ関係 / 家系再構築 / 集団遺伝学 / 個体数推定 / 有効集団サイズ |
研究開始時の研究の概要 |
対象とする生物種について、どのような単位でまとまっているのかを知ることは、その生物の生き様に関する理解のみならず、個体数の維持や持続的な利用など、応用の面でも重要である。しかしながら、1単位のまとまり(=集団)の大きさを調べるのは非常に難しい。 近年、個体数が小さな集団ほど近親関係が見つかりやすいことを利用して、生物集団の個体数を調べる方法が出現した。しかしながら、水産資源種など個体数が大きな集団を対象とする場合は、近親関係が見つかりにくく現実的な手法ではなかった。 この問題点を克服するため、本課題では遠い近親関係やゲノムの類似性に着目して、個体数が大きな集団に適用できる理論を開発する。
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研究実績の概要 |
生物種の集団構造や繁殖生態を解明する方法論を整備することは、基礎と応用の両面から重要である。研究代表者は、サンプルのゲノム情報から明らかになる近親関係に着目して、様々な理論開発および応用研究を進めてきた。しかしながら、近親関係の見つかりやすさは集団サイズに反比例するため、現実的なコストの元で近親関係を見つけて生態情報を抽出す るには、対象となる集団サイズは小規模なものに限定される、という制約があった。本研究では、“遠い近親関係”を対象にすることでこの制約を克服する。具体的には、近親判定の不確実性を考慮に入れたモデリング手法や、ゲノム構造の類似性に着目した高解像度な近親判定法を開発することで、発見確率の高い“遠い近親関係”を活用し、より広範な集団を対象とした生態情報の抽出を試みる。特に、近年の情報復元に特化することで、直近の個体数や繁殖成功度などを推定するゲノムモニタリング手法としての確立を目指す。 初年度である令和5年度は、「近親判定に伴う不確実性を包含した確率的な近親関係を用いた生態情報推定法の開発」に時間を費やした。特に、近親判別アルゴリズムごとに存在する偽陽性/偽陰性の制御が重要であること、生態情報の推定式の中に偽陽性率もしくは偽陰性率を組み込むことが可能であること、遠い近親関係の出現頻度は対象種の繁殖生態に強く依存すること、などを明らかにした。また、「ゲノム構造の類似性に着目した高解像度な近親判定法の開発」については、最新の文献に類似のアルゴリズムが利用されていることを発見し、その正しい理解と拡張可能性の検討に時間を費やした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初想定した理論開発について、繁殖生態の複雑さが近親関係の出現頻度や家系構造に強く依存するため、明瞭な形式での理論化が阻まれており、その先にある生態情報の推定の進捗に影響している。
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今後の研究の推進方策 |
最終的には、多回繁殖し長寿命な生態を念頭においた、複雑な繁殖生態を持つ集団に適用するのが目的である。しかしながら、複雑な繁殖生態の様式が明瞭な理論化を阻んでいることから、一旦理論の開発に費やす時間を減らす。その分のエフォートを、シミュレーションや機械学習法を中心とした方法論にシフトさせることで、近親判定に伴う不確実性を包含した確率的な近親関係を数値的に処理し、統計モデリングの枠組みで生態情報の抽出を目指す。
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