研究課題/領域番号 |
23K05948
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45050:自然人類学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
神澤 秀明 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, 研究主幹 (80734912)
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研究分担者 |
三浦 史仁 九州大学, 医学研究院, 准教授 (50447348)
安達 登 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60282125)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 古代ゲノム / 古墳時代人 / 血縁 / 1本鎖DNA / 古代人ゲノム / 古墳時代 / 人骨 / 関東 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、古墳時代人の集団遺伝構造とその形成プロセスを明らかにするために、古墳時代人の核ゲノム解析を行う。先行研究によって、西日本の古墳人ゲノムは充実しつつある。一方で東日本の古墳人ゲノムは依然として分析数が少なく、その遺伝的背景や周辺集団との詳細な関係は不明である。そこで本研究では、特に関東地方の古墳時代人骨に着目し、良質な核ゲノム配列の取得を目指す。解読した古代ゲノムを用いた精度の高い解析を行うことで、古墳時代人を軸とした過去から現在にわたる日本列島人の集団遺伝構造を明らかにする。また、古代人ゲノムに基づいて古墳時代や現在の多様性や複数回の過去の移住を考慮したモデルの検証を行う。
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研究実績の概要 |
関東の古墳時代人の遺伝的な背景を詳細に明らかにするためには、これまでよりも良好なゲノムデータをそれぞれの古人骨から取得する必要がある。そのために本年度は、分担者の三浦史仁博士が開発した高効率1本鎖DNAのライブラリ作成方法の導入を行なった。この方法は、従来法(2本鎖DNA法)と比べてDNAのロスを少なく、ライブラリを作成することができ、それに伴って、これまで低深度であった、あるいは分析が不可能であった人骨へのゲノムのアプローチが可能になることが期待される。実際に分析対象とする関東古墳時代人の抽出DNAを用いた実験の前に、使用可能な他の古人骨の抽出DNAを用いた実験を実施した。その結果、従来の2本鎖法と比べて10倍近くの効率でDNAライブラリを作成された。一方で、インプットボリュームが少ないことから、トータルボリュームを増やすなどの実験改良を行なったところ、効率が著しく落ちてしまうなど、実験に不安定なところが依然として見受けられた。そのため、三浦博士と相談の上、改良を今後進めていくことで情報共有した。 1本鎖DNAライブラリ作成法は依然として検討作業中であることから、関東古墳時代人の実験については、従来法で少しずつ進めていく方針で実験を進めている。また、他の1本鎖DNAライブラリ作成法として、Gansauge et al. (2020)が報告されており、そちらも並行して検討するため、実験環境の整備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記に示したように、実験法が一部不安定であり、そのための検討を再度行なっている段階である。一方で、分析する古人骨のDNA抽出はすでに完了している状態であることから、実験方針が定まれば、円滑に研究は進むと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、2つの1本鎖DNAライブラリ作成方法での実験検討を進めることで、いずれかの方法で研究が進むような体制とすることで解決をはかる。また、この検討期間の間に、ターゲットエンリッチメントの実験手法に改良があった。古人骨から抽出したDNAの大半は土壌のバクテリア由来で、人骨由来のヒトDNAが占める割合はごく一部である。そのため古代人ゲノム分析では、ターゲットエンリッチメントにより、ヒトDNAを濃縮することで効率的に配列情報を取得している。このターゲットエンリッチメントキットとして、新たにTwist Bioscience社を導入したことで、ターゲットとなるSNP数の増加や、濃縮効率の改善が認められたことから、今後は、当初の計画よりも良好な結果が得られることが期待される。
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