研究課題/領域番号 |
23K05966
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
吉川 雅朗 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (50451696)
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研究分担者 |
松川 睦 日本大学, 医学部, 准教授 (90318436)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 介在ニューロン / 透明化 / DNAメチル化 / 感覚-運動神経回路 / ALS / 微小重力 |
研究開始時の研究の概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)および微小重力環境では脊髄運動ニューロンの変性と筋萎縮が起こるため、解析の対象や治療ターゲットは運動ニューロンと筋がメインであった。運動制御には適切な感覚情報の入力が必要であるが、感覚情報と運動ニューロンをつなぐ感覚-運動神経回路が運動ニューロン変性に関与するのか不明のままであった。そこで本研究では、ALSモデルマウスと微小重力環境飼育マウスを用いて、遺伝子発現変動したDRGニューロンおよび脊髄介在ニューロンの分布や投射線維を解析し、運動ニューロン変性時の感覚-運動神経回路の変化を明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)および微小重力環境では脊髄運動ニューロンの変性と筋萎縮が起こる。モデルマウスを用いた解析から、運動ニューロン変性や筋萎縮のメカニズムの理解は大きく前進したが、運動制御に必要な感覚-運動神経回路が運動ニューロン変性に関与するかは不明である。そこで本研究では、運動ニューロン変性時の感覚-運動神経回路の変化を明らかにすることを目的とする。 申請者は、これまでにALSモデルマウスと微小重力環境飼育マウスを用いて脊髄と脊髄神経節 (DRG)の変化に着目して研究を行い、運動ニューロンだけでなくDRGニューロンや介在ニューロンに関わる遺伝子の発現が大きく変動していることを明らかにしてきた。そこで興奮性・抑制性脊髄介在ニューロンの分布およびマーカー分子の発現変化を解析するために、コントロールマウスの脊髄を用いて、免疫染色および透明化の条件検討を行った。各種介在ニューロンマーカー抗体を用いた免疫染色の条件は固まってきた。また、脊柱管に脊髄が存在する状態(脊髄とDRG、脊髄神経が損傷していない)での透明化を検討している。透明化には成功したが、脊髄内の解析を行うには透明度が充分でないため改良が必要である。今後は、組織切片での解析だけでなく、透明化技術を活用し、立体的に脊髄介在ニューロンの分布の変化を解析していく。 また、DNAメチル化の関連遺伝子の発現変動が顕著であったため、2つのDNAメチル化解析法、bisulfite処理を行うMethylation-specific PCR (MSP) 法とbisulfite処理を伴わないThree-wayjunction (TWJ) 法を用いた解析を行っている。コントロールゲノムDNAを用いた条件検討で、メチル化率に依存した結果を得ることができたため、サンプルを用いて関連遺伝子のDNAメチル化の変化を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究機関の異動に伴い、新たにジャクソンラボラトリーからALSモデルマウスを購入し繁殖させる必要があったため、サンプルの取得が遅れている。 当初、微小重力環境飼育モデルは野生型マウスを2週間、尾部懸垂飼育することで作製する予定であったが、「きぼう」利用マウスサンプルシェアテーマに採択されたため、尾部懸垂飼育は中止した。JAXA(宇宙航空研究開発機構)から提供された人工重力1/6Gで飼育した生後13週齢雄性C57BL/6マウス(低重力マウス)と地上1Gで飼育した生後13週齢雄性マウス(コントロールマウス)の脊髄を用いて解析を進めている。 脊髄とDRG、脊髄神経が損傷していない状態で観察・分析するために、脊髄が脊柱管に存在する状態で透明化の条件検討を行った。硬組織(脊椎、硬膜)と軟組織(脊髄)が混在しているため、透明度が充分得られていない状態で脊髄内の解析が困難である。そのため、透明化液の組成を変更して検討中である。 対照群との比較には至っていないが、コントロールマウスの脊髄を用いて、免疫染色および透明化の条件は概ね固まっている。 よって、全体的に見れば、やや遅れているが順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
介在ニューロンマーカー抗体を用いた免疫染色の条件が固まってきたので、モデルマウスとコントロールマウスを用いて免疫染色の解析を行う。ALSモデルマウスの繁殖は順調に進んでいるため、今年度以降のサンプル取得は問題ない。 透明化サンプルの透明度が充分得られていない状態であるため、透明化液の組成を変更して検討する。場合によっては、脊柱の一部、椎体もしくは椎弓を外して検討する。条件が整い次第、モデルマウスとコントロールマウスの脊髄を透明化、染色、イメージングし、脊髄介在ニューロンなどの分布の変化を解析していく。 コントロールDNAを用いたDNAメチル化解析は成功しているので、脊髄から抽出したゲノムDNAを用いて解析を進める。
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