研究課題/領域番号 |
23K05971
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
河野 泰三 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 研究員 (50724986)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 睡眠 / 順遺伝学 / 線虫 / 遺伝学 |
研究開始時の研究の概要 |
従来、多くの研究では脳に着目して眠気をもたらす仕組みを探求してきた。研究代表者は、線虫を用いた順遺伝学的手法により、末梢組織の小胞体ストレス反応経路が過剰な睡眠を誘導することを見出し、この新規の睡眠制御機構が、末梢由来の眠気の実体に関わる可能性を示した。本研究では、末梢組織の小胞体ストレス応答経路がどのようにして神経細胞に働きかけているのか、その細胞非自律的な睡眠調節の仕組みを明らかにすることを目指し、順遺伝学的手法による変異体のスクリーニングと原因遺伝子の同定、その作用機序の解明を行う。これにより、末梢組織による睡眠制御の全体像をつかみ、眠気の実体の理解へとつなげる。
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研究実績の概要 |
末梢組織がどのように睡眠の調節に関与しているのか、その詳細な機構はわかっていない。研究代表者らは、線虫を用いた順遺伝学的手法により、末梢組織の小胞体ストレス経路が睡眠制御に関わることを明らかにした。本研究では、末梢組織で睡眠に関わっているsel-11遺伝子の変異体を用いて、sel-11の過剰な睡眠表現系を抑制するサプレッサー変異体のスクリーニングと機能解析により、末梢からどのようにして睡眠の調節が行われているかを明らかにすることを目指す。 本年度は、長い睡眠時間を示すsel-11変異体を変異源処理し、サプレッサー変異体のスクリーニングを行った。目標としていた一次スクリーニングがほぼ完了し、多くのサプレッサー変異体が得られた。これまでのところ、野生型の睡眠量に戻った変異体は存在せず、全て野生型とsel-11変異体の中間の表現系を示した。このことはsel-11による睡眠制御には複数の経路が関わり、一つの経路の阻害ではその効果を完全に抑えることができない可能性を示唆している。得られた変異体は順次戻し交配や相補性テスト・全ゲノム配列解析などを行い、原因遺伝子の特定も進めた。その結果、3つの変異体では、これまでにsel-11変異による過剰睡眠に関わることが知られている、pek-1およびeif-2alphaという二つの遺伝子の変異が特定できた。これらの遺伝子は小胞体ストレス反応経路に関わるものであり、スクリーニング系が予想通り働くことを示している。また、全ゲノム配列解析の結果、未知の睡眠制御遺伝子が関わっている可能性のある変異体も得られた。今後この原因遺伝子の解析によりsel-11による睡眠制御に関わる未知の機構が明らかになると期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りサプレッサー変異体のスクリーニングを行うことができた。またいくつかの変異体については全ゲノム配列決定による原因遺伝子の候補も得られている。
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今後の研究の推進方策 |
スクリーニングにより得られたサプレッサー変異体の全ゲノム解析を行ない、原因遺伝子の同定とその機能組織の特定をレスキュー実験などにより行う。また、既知の睡眠関連遺伝子との遺伝的相互作用の解析などを行い、得られた遺伝子がどのようにして睡眠の制御に関わっているのかを明らかにする。
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