研究課題/領域番号 |
23K05982
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
酒井 大輔 金沢医科大学, 一般教育機構, 講師 (90632646)
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研究分担者 |
東海林 博樹 金沢医科大学, 一般教育機構, 教授 (10263873)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | un uteroエレクトロポレーション / 低酸素シグナル / 抑制性神経発生 / マウス |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者のこれまでの研究結果から、生理的な低酸素が大脳腹側における抑制性神経の発生制御に関与することが示唆されている。そこで、抑制性神経の誘導に関与するHif1α標的遺伝子の同定、大脳基底核隆起におけるHif1α標的遺伝子による抑制性神経誘導、大脳内酸素濃度勾配の可視化、人為的な大脳組織内酸素濃度勾配の撹乱による抑制性神経発生への影響について解析する。これらの解析を通じて、抑制性神経の多様性獲得の分子メカニズムの解明を目指す。
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研究実績の概要 |
Fgf15の発現ベクター(Fgf15-CAGS)を作製し、in uteroエレクトロポレーション法により胎生13日目の外側基底核隆起(LGE)への遺伝子導入を試みた。その結果、LGE近傍への遺伝子導入に成功し、妊娠16日目まで母体中で胚発生を進めることにも成功した。遺伝子導入から72時間後のLGE近傍で、Fgf15タンパクの発現を免疫染色により確認できた。このことから、本方法によりLGE近傍という限局した領域で安定的にFgf15を発現させることが可能となった。しかし、Fgf15の強制発現による尾側基底核隆起(CGE)由来の抑制性神経の異所的誘導は起こらなかった。その主な原因として、(1)胎生13日目では遺伝子発現のタイミングが遅いこと、(2)LGEの腹側に効率良く遺伝子導入ができない、の2点が考えられた。現在、大脳スライス培養法を利用したFgf15の強制発現系の開発を進めている。 Gm110046ノックアウトマウスの戻し交配が完了した。Gm10046のホモ欠損マウスを作製したところ、ホモ欠損マウスは出生し、仔の形態にも異常は認められなかった。また、ホモ欠損個体の繁殖能も正常であった。胎生14日目のGm10046ホモ欠損胚を回収し、大脳基底核隆起における異所的な抑制性神経誘導の有無を調べた。しかし、異所的な抑制性神経の誘導は認められなかった。異なる時期の大脳を用いた解析を今後は予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、pEF-BOSベクターをベースにFgf15の発現ベクターを作製していたが、Fgf15が組織内で安定的に発現せず、大脳の凍結切片を用いた免疫染色では、Fgf15タンパク質の合成を検出することができなかった。そこで、いくつかの発現用プラスミドを試し、最近になって、pCAGSベクターがFgf15を大脳組織内で安定的に発現させることができることがわかった。また、in uteroエレクトロポレーション法によりLGEに遺伝子を導入することが非常に難しく、安定してLGE近傍に遺伝子が導入できる技術を習得するまでに時間を要した。 また、Gm10046ノックアウトマウスが予想に反して、形態や生育、繁殖能力に異常を示さなかった。
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今後の研究の推進方策 |
Fgf15の強制発現によりCGE由来抑制性神経の異所的誘導が起こらなかった原因として、(1)胎生13日目では遺伝子発現のタイミングが遅いこと、(2)LGEの腹側に効率良く遺伝子導入ができない、の2点が考えられた。そこで、より早い時期の大脳のLGEに遺伝子導入が可能となる、大脳スライス培養法とエレクトロポレーション法を組み合わせた遺伝子強制発現系の利用を検討している。さらに早い時期での遺伝子導入が必要となった場合は、大脳基底核隆起特異的なcreドライバー(Gsx2-creなど)の導入を検討する予定である。 Gm10046ノックアウトマウスに関しては、妊娠14日目以外のステージの大脳を用いて、異所的な抑制性神経の誘導の有無を調べていく。
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