研究課題/領域番号 |
23K05984
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46020:神経形態学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
堀 修 金沢大学, 医学系, 教授 (60303947)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 小胞体ストレス / 神経変性 / Seipin |
研究開始時の研究の概要 |
小胞体ストレスは糖尿病などの他、運動神経疾患でも認められる。しかし、代表的な運動神経疾患ALSの場合、異常蛋白質の凝集は小胞体ではなく細胞質で認められ、小胞体ストレスが真に中心的役割を担っているかは不明である。一方、Seipinopathyは糖鎖を付加しない変異型Seipin蛋白質が小胞体に凝集し、惹起された小胞体ストレスが神経変性を引き起こす遺伝性運動神経疾患である。伊藤らにより変異型Seipinの過剰発現(Tg)マウスが作製され、運動神経障害が確認された。本研究で申請者は、Seipin結合分子に注目した同マウスの解析を行い、小胞体ストレスから運動神経変性に至る分子メカニズムを明らかにする。
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研究実績の概要 |
Seipinopathyは、小胞体膜蛋白質SepinのN88S或いはS90L変異により引き起こされる遺伝性運動神経疾患である。変異型Seipinには糖鎖が付加されない為、小胞体に蓄積・凝集して小胞体ストレスを惹起し、その小胞体ストレスが神経変性を引き起こすと考えられている。研究協力者の伊藤らがN88S Seipinを神経特異的に過剰発現する変異型Seipin Tgマウスを作製し、進行性の運動障害および小胞体内凝集体形成、小胞体ストレス、そして運動神経の変性を報告している(Yagi et al.,2011)。本研究に於いて令和5年度は、同マウスにおける変異型Seipin Tg及びSeipin結合分子であるSERCA2 (Bi et al.,2014)の発現を免疫組織化学により検討した。中等度の神経症状を呈する生後6か月の段階で検討したところ、変異型Seipinは運動神経の細胞質の他、樹状突起、更には一部ではあるが軸索にも分布し、多くは凝集体を形成していた。一方、SERCA2は、同じ条件の野生型マウスにおいては主に脊髄運動神経の細胞質に発現を認めるのみであるのに対し、変異型Seipin Tgマウスにおいては、変異型Seipin凝集体と共に運動神経の細胞質に加えて樹状突起などにも多く観察された。更に重篤な神経症状を示す生後8か月の段階では、変異型Seipin Tg及びSERCA2の発現ともにその発現が低下し、細胞質にはほとんど認めなかった。以上の結果から、変異型Seipin Tgの発現・凝集に伴いSERCA2の発現・局在が変化し、その機能が障害されている可能性が示唆された。また、生後6か月のSeipin Tgマウス由来のサンプルを用いて免疫沈降を行い、SeipinとSERCA2の結合を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
変異型Seipin Tgマウスの解析を予定通り進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
小胞体内分子シャペロンであるカルレティキュリン(CRT)はSERCA2に結合し同分子を分解に導くことが報告されている (Ihara et al., 2005)。そこで令和6年度は、まず、変異型Seipin TgマウスにおけるSERCA2とCRTの発現について、免疫組織化学により検証する。次に、野生型及び神経特異的CRT cKOマウスにおけるSERCA2の発現を比較検討することで、 CRTの発現量の変化がSERCA2の発現に与える影響について確認する。また、より一般的な運動神経疾患モデルでの検討を行う為、ALSモデルマウスであるG93A SOD1 Tgマウスにおける変異型SOD1由来凝集体とSERCA2、CRTの発現及び細胞内局在について、ウエスタンプロット、RT-qPCR、免疫組織化学により検討し、これら分子の発現低下、局在変化が生じている可能性を検証する。
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