| 研究課題/領域番号 |
23K05989
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| 研究種目 |
基盤研究(C)
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| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分46020:神経形態学関連
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| 研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
谷口 学 大阪大学, 大学院医学系研究科, 技術専門員 (30397707)
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| 研究分担者 |
佐藤 真 大阪大学, 大学院連合小児発達学研究科, 教授 (10222019)
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| 研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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| キーワード | von Economo細胞 / Fork細胞 / 島皮質 / 前帯状回 / フォークセル |
| 研究開始時の研究の概要 |
研究代表者らは、ヒトを含む一部の進化した霊長類のみに存在すると報告されているvon Economo細胞に特徴的に発現するとされる分子の一部の発現細胞、および形態学的にフォークセル様ニューロンの特徴を有する細胞の存在をマウス島皮質において見い出した(Taniguchi, M et al., Plos One, 2022)。本研究ではこれらの細胞の回路網を神経細胞の全体像を可視化してのsingle neuron resolutionのレベルで解明する。そして、神経活動の履歴が追跡できるマウスを用いその回路機能の解明を進めることで、これらの細胞の神経回路を明らかにする。
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| 研究実績の概要 |
島皮質において、ヒトを含む一部の進化した霊長類の島皮質第5層には形態学的に特徴的な細胞(von Economo細胞、Fork細胞)が存在するとされ、自閉症や認知症などの疾患との関連が指摘されている。代表者らは、大脳皮質の発生過程における類似性に着目し、マウス島皮質においてvon Economo細胞に特徴的な分子を発現する細胞、ならびに形態学的にFork細胞様の特徴を有する細胞を見い出した(Taniguchi, M et al., PLOS ONE 2022)。 本研究では、さらに新たな手法としてNADPH-d染色法を導入し、von Economo細胞およびFork細胞の形態的特徴を有するNADPH-d陽性細胞をマウス島皮質および前帯状回において見出した。初年度には、これらの細胞の存在を確認するとともに、ストレス負荷マウスにおいてこれらの細胞数が減少することを明らかにした。 本年度は、これらの細胞の細胞プロフィールを明確にし、nNOS免疫染色との多重染色法により興奮性マーカー(SATB2)陰性、抑制性マーカー(ソマトスタチン)陽性であることから、抑制系ニューロンであることを同定した。加えて、nNOS mRNAに対するin situハイブリダイゼーション解析を行い、NADPH-d染色の局在パターンと一致することを確認した。さらに、十分な解析対象数に基づき、授乳期ストレスモデルの大脳皮質においてNADPH-d陽性を示すvon Economo様細胞およびFork様細胞が統計学的に有意な減少することを明らかにした。 以上の結果より、Nadphd陽性のvon Economo様細胞が抑制性NOニューロンであること、ならびに授乳期ストレスがこれらの細胞の神経ネットワークに及ぼす影響について、基本的な知見が確立された。現在、本成果を論文としてまとめる段階に入っている。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
代表者らはこれまでに、島皮質および前帯状回においてvon Economo細胞およびFork細胞の形態を有するNADPH-d陽性細胞を新たに見出し、さらにストレス負荷マウスにおいてこれらの細胞数が減少することを統計学的に優位な差をもって明らかにした。加えて、nNOS抗体および抑制neuronマーカーとの蛍光免疫多重染色法により、これらのnNOS陽性のvon Economo細胞が抑制性NOニューロンであることを明確にし、ストレス負荷によりこれらnNOS陽性細胞(NOニューロン)の細胞数もまた優位に減少することを明らかにした。本研究課題を推進するにあたり、マウスに存在するvon Economo細胞及びFork細胞の特徴を有する細胞についての新たな知見を確立することができた。現在、本成果を論文として投稿準備段階である。今後は、これらvon Economo様細胞およびFork様細胞の回路網の全体像を明らかにすることを目指す。また、電子顕微鏡や免疫組織化学的手法を駆使して形態学的に検討を進め、病態や意志の変化などの行動と神経回路との関係についても検討を進める。
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| 今後の研究の推進方策 |
代表者らはこれまでに、島皮質および前帯状回に存在するvon Economo細胞およびFork細胞様の形態を有するNADPH-d陽性細胞を新たに見出し、さらにストレス負荷マウスにおいてこれらの細胞数が統計学的に有意に減少することを明らかにした。さらに、nNOS抗体および抑制neuronマーカーとの蛍光免疫多重染色法により、これらのnNOS陽性細胞(NOニューロン)が抑制性ニューロンであることを同定し、また、ストレス負荷による細胞数減少を統計学的に有意であることを明らかにした。現在、本成果を論文としてまとめる段階に入っている。 今後は、von Economo様細胞およびFork様細胞の回路網の全体像を明らかにすることを目指す。Single neuron resolutionレベルでの解析も推進すると同時に、CUBIC法とライトシート顕微鏡による全脳スキャンを用いて、von Economo様細胞およびFork様細胞を含む抑制系ネットワークの投射経路を可視化し、その広域構築パターンを明らかにしていく。また、ストレス負荷がこれらのネットワーク構築に及ぼす影響を、シナプスマーカー(Synapsin、PSD95、Gephyrinなど)の解析を通じて明らかにする。さらに、得られた知見をもとに、これらvon Economo様細胞およびFork様細胞の機能的意義について検討を進め、神経精神疾患の病態基盤解明につなげる。
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