研究課題/領域番号 |
23K06010
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46030:神経機能学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
牧野 祐一 東京大学, ニューロインテリジェンス国際研究機構, 特任講師 (30619854)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | マウス / 注意 / 前頭前野 / in vivo電気生理学 / 幼若期ストレス |
研究開始時の研究の概要 |
注意には前頭前野や感覚野などの複数の脳部位が必要であると考えられているが、それらの脳部位の間でどのような情報伝達が行われて注意機能が実現しているかは明らかになっていない。本研究ではマウスのin vivo多領域同時電気生理記録と光遺伝学を用いた経路選択的操作により、注意を制御する神経活動の脳部位間伝達を包括的に解析する。また、幼若期ストレスが引き起こす注意障害とそれに伴う脳部位間活動伝達の変化を測定し、注意障害の原因となる多領域メカニズムを探る。
|
研究実績の概要 |
注意は身の回りに存在する多くの情報の中から必要な情報のみを抽出しその処理を促進する機能で、動物の生存に必要不可欠である。注意には前頭前野や感覚野を含む複数の脳部位が必要であることが知られているが、それらの脳部位の間でどのような情報伝達が行われて注意機能が実現しているかはわかっていない。また注意は幼若期に受ける心理的ストレスにより機能障害を示すことが知られているが、幼若期ストレスが脳部位間の情報伝達にどのように影響して注意障害を引き起こしているかは明らかになっていない。そこで本研究ではマウスを用いて、注意に必要な神経活動の脳部位間伝達を包括的に解析すること、また幼若期ストレスがそれらの脳部位間活動伝達に及ぼす影響を測定することを目的とした。 本年度はまず、マウスにおいて注意機能を正確かつ効率的に測定する行動課題を立ち上げ、また幼若期ストレスが注意課題の成績に及ぼす影響を測定した。注意の測定にはタッチスクリーンを用いたオペラント学習課題を用い、従来より短い期間で課題の学習・注意機能の測定を行うことを可能にした。幼若期マウスにストレスを与える手法としては、母親よる育児放棄のモデルである断片的ケア(fragmented care)のプロトコルを立ち上げた。このストレスプロトコルを幼若期の複数の時期に施し、効果を比較した。その結果、生後初期(P2-9)にストレスを与えたマウスにおいて、成体時における注意課題の成績に低下が見られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスにおける注意機能の測定は従来の方法では数か月を要するが、本研究ではパラメータ等を再考し、この期間を1か月程度に短縮することを可能にした。また幼若期ストレスが実際にこの注意課題の成績に影響することを確認し、ヒトで報告されているストレス後の注意障害をマウスモデルで再現できた。これらにより、今後注意過程に伴う脳部位間情報伝達とその異常を測定するための土台が整った。
|
今後の研究の推進方策 |
注意に伴う神経活動の脳部位間伝達を測定するために、脳の複数個所に電極を埋め込み、既に立ち上げた注意課題の遂行中に電気生理記録を行う。特に、前頭前野や視覚野など、視覚的注意に関わる複数の脳部位から活動を記録し、その同期や相互作用を解析する。また、それらの脳部位間活動伝達が幼若期ストレスによりどのように変わるかを測定し、ストレス後の注意障害のメカニズムを探る。
|