研究課題/領域番号 |
23K06023
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
大金 賢司 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 講師 (30771092)
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研究分担者 |
田口 友彦 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (10300881)
向井 康治朗 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (90767633)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 構造活性相関 / STING経路 / 自然免疫 / ステロール誘導体 / 脂質 / オキシステロール / STING |
研究開始時の研究の概要 |
体の中で細菌やウィルスやがん細胞といった異物などに対する防御応答として、一度入ってきたものを記憶して応答する獲得免疫と、核酸や脂質などの特定の分子パターンを認識して応答する自然免疫があります。本研究では、自然免疫系のうち「STING経路」に着目しています。この経路を活性化する化合物はがんの治療に有用な可能性があり、また自己免疫疾患などこの経路が過度に働いている疾患ではこの経路を抑制する化合物に医薬候補としての可能性があります。本研究では、体内の特定の脂質がこの経路の働き具合を調節していることに着目し、より優れた化合物を探し、なぜ効くのかという作用メカニズムを明らかにすることを目指します。
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研究実績の概要 |
本研究では、炎症性疾患や自己免疫疾患の治療薬候補の創製を目指し、STING経路を調節する活性を持つ内在性オキシステロールについて、誘導体化による高活性化を目的としている。また、構造活性相関情報を活かしたケミカルプローブ化と化合物をツールとして用いた解析により、どのような分子メカニズムで作用しているのかを明らかにすることを目的としている。 初年度においては、本研究開始前に構築済みであったマウスSTINGに対する活性評価系を用いた構造活性相関研究を進めた。予備的検討の段階で、数マイクロMオーダーの活性を持つオキシステロールから数10ナノM程度の誘導体を見つけていたが、その周辺化合物の構造活性相関を精査することで、より高活性な1桁nMの活性を持つ誘導体の取得に成功した。 また、STING経路は、マウスSTINGとヒトSTINGで種差が大きく、マウスにしか効果がない化合物も存在することがわかっていた。そのような背景から、ヒトSTINGの活性評価系の構築を進めた。ステロール誘導体によるSTING経路抑制活性を評価するために、ヒトSTINGアゴニストを複数検討した。既知のアゴニストであるものの、十分な活性化を示さないものがあったが、最終的に本評価系で十分なアゴニスト活性を示す化合物を見出し、STING経路の抑制活性を測定できる実験系を構築した。アゴニストの検討を進める中で、STINGの恒常的活性化変異体を用いた検討を進めた。本研究で得られたステロール誘導体は、アゴニストを用いた実験系でも恒常的活性化変異体を用いた実験系でも、ヒトSTINGの経路に対しても調節活性を示すことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初狙っていた高活性化に成功し、ヒトSTING経路での活性評価系の構築を完了した。ヒトSTING経路へのステロール誘導体の活性が確認できたことで、本年度の目的は達成している。一方で、実験系の構築においてはヒトSTINGに対するアゴニストの選定に時間を要した。既知のアゴニストであっても我々の活性評価系では十分な活性化がみれない化合物があり、活性化がみられる化合物であっても安定性に難があったためである。この問題は、保存・使用法上の工夫と、アゴニストを使用せずに恒常的活性化変異体を用いることで解決できている。なお、恒常的活性化変異は当初は2-3年目に予定していた内容であったが、上記理由により1年目に行うこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでにステロール側鎖部位に注目した構造展開を進めてきたが、今後はステロイド骨格や3位水酸基に関する構造活性相関を取得していく。特に3位周辺の構造は、多標的性のあるステロール誘導体の選択性に関与するほか、代謝安定性にも関与することが予想されることから、精査を進める。 また、作用機序に関してはオキシステロールに関して新たな知見を得ていることから、高活性化したステロール誘導体について今後調べていく。
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