研究課題/領域番号 |
23K06032
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
佐藤 一樹 東京理科大学, 薬学部生命創薬科学科, 講師 (70822518)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | リーシュマニア原虫 / 糖1-リン酸誘導体 / 立体選択的合成 |
研究開始時の研究の概要 |
Leishmania症は、世界保健機関により制圧すべき熱帯病に指定されているものの、効果的で副作用が少ない治療薬は存在しない。本研究では、Leishmaniaが有する糖1-リン酸構造と、その転移酵素が固有のものであることに注目した。この酵素の基質認識には、リン原子の荷電状態や原子上の置換基の種類、リン原子上の化学修飾により生じる立体異性体など、リン酸部位の構造が大きく関わる。本研究では、リン原子の立体化学を制御した糖1-リン酸誘導体を合成し、この転移酵素の認識能を評価することで、認識機構を解明、さらにはこの知見をもとに、阻害剤へと応用し、副作用が少なく効果的な治療薬の創製を目標とする。
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研究実績の概要 |
本研究では、リーシュマニア原虫が有するβ-Gal-(1→4)-α-Man-(1-P)の構造に注目し、その阻害剤候補分子として、上記構造の立体化学が制御されたリン原子修飾体に注目している。今年度は令和6年度以降に蛍光基を付与した2糖1-リン酸のリン原子修飾誘導体を固相合成するにあたり、蛍光基の固相担体への導入を試みた。7-ヒドロキシクマリンの誘導体を用いて検討を行ったが、7位のヒドロキシ基をグルタル酸無水物と反応させて固相担体上のアミノ基と反応できるように誘導体化すると、精製後に容易に原料に戻ることが分かった。これは、7位のヒドロキシ基の脱離能が高く、逆反応が進行しやすいためと考えられる。そのため、現在は7位をエーテル化して誘導体化することを試みている。 一方、本研究で阻害剤候補分子の性質を評価するにあたり、コントロールとして天然型の糖1-リン酸誘導体を効率的に合成することが極めて重要となる。令和5年度に、2糖1-ホスホロアミダイト誘導体をビルディングブロックとし、安定なボラノホスホトリエステル体を形成しながら鎖長伸長し、合成の最終段階でボラノホスホトリエステル体をジエステル体、さらにはホスホジエステルへと順次変換することで、2糖1-リン酸繰り返し構造を効率的に合成する手法を開発した。これまで鎖長を制御した誘導体の中では最長のオリゴマーの合成に成功し、論文として発表した (Org. Lett. 2023, 25, 3927-3931)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、今年度中に蛍光基を導入した固相担体を調製する予定であったが、蛍光基の想定外の反応性により、目標を達成することができなかった。しかし、その改善策を考案できていること、コントロールとなる2糖1-リン酸誘導体を効率的に合成する手法を確立し、学術論文として発表することができたことを加味し、(2)おおむね順調に進展している、とした。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き蛍光基の固相担体への導入について検討を進める。入手の容易さからクマリンの誘導体を蛍光基候補としたが、今後は合成の簡便さも加味しながら蛍光基の選定と導入を進める。
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