研究課題/領域番号 |
23K06037
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
神野 伸一郎 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (20537237)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 近赤外光 / 光レドックス触媒 / 有機色素 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,「近赤外光」を利活用し,生体代謝物が蓄積することで全身症状が現れる難病ライソゾーム病の光化学治療薬・治療法を開発することを目的とする。その実現に向けて,応募者独自の近赤外有機色素を分子設計のプラットフォームとし,NIRの光を吸収し,光レドックス触媒能を発現する機能性分子を創製する。そして脱水素型クロスカップリング反応やアルケンのヒドロ官能基化反応に適用することで,光レドックス触媒機能の解明と光反応手法を開発する。更に脂質の脱水素化や不飽和結合の官能基化に適用することで,脂質を誘導・分解する近赤外光分子技術を創出する。
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研究実績の概要 |
本研究は,生体透過性の高い近赤外光を効率的に吸収することで,光レドックス触媒機能を発現する機能性分子の創製と,生体基質を分子変換する光反応手法を開発することを目的とし,[Step 1] NIR-II の光を効率的に吸収し熱力学的安定性に優れた有機色素群を創製し,[Step 2] 光レドックス触媒機能の解明と光反応手法を開発する。そして [Step 3] Step 1,2の成果を,単純・複合脂質を基質とした光レドックス触媒反応へ応用することで,生体基質を誘導・分解する近赤外光分子技術を創出する。 当該年度は,[Step 2]に取り組み,NIR-I 領域に光吸収をもつ有機色素 PeR (1) を光レドックス触媒分子として,脱水素型カップリング反応を試みた。その結果,631 nm の LED 光を照射しながら,電子的効果の異なる 1,2,3,4-tetrahydroisoquinoline 誘導体 (2) に対して,nitromethaneを作用させることで,目的のカップリング体が得られ,酸化的Aza-Henry反応が効率的に進行することを見いだした。また電子吸引基を有する 2 では収率が低くなった一方,電子供与基を有する 2 で収率が高くなる傾向を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回,研究者が独自に見いだした近赤外色素の PeR が光レドックス触媒機能を有することを見いだした。一方で,NIR-Ⅱ領域の光を効率的に吸収し熱力学的安定性に優れた色素化合物の合成には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
[Step 1] 量子化学計算により計画した長波長化戦略に基づき,NIR-II の光を効率的に吸収する PeR誘導体を合成し,光物性と分子構造の関係を明らかにする。またHOMOエネルギー準位を低下させたまま,エネルギーギャップの小さな誘導体を合成することで,熱力学的安定性の向上を試みる。 [Step 2] 酸化的Aza-Henry反応について、ハメットの置換基定数に基づいた 1,2,3,4-tetrahydroisoquinoline 誘導体 を基質として合成し,PeR を光レドックス触媒分子とした光反応における電子的効果と反応性との関係について精査した後,反応手法を構築する。また,脂質の不飽和結合の官能基化を達成目標とし,アルケンのヒドロ官能基化反応に適用することで,PeR の光レドックス触媒としての機能解明と光反応手法について引き続き探索する。上記の研究は,他のNIR色素でも検討を重ねていくことで,近赤外応答型光レドックス触媒としての化合物群を構築する。
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