研究課題/領域番号 |
23K06042
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
|
研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
吉田 昌裕 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (10344681)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 連続反応 / アゼチジン / 含窒素複素環化合物 / 金触媒 / アルキン / 小員環 |
研究開始時の研究の概要 |
アルキニルアゼチジンを用いた変換反応についてはこれまで報告例が少なく、いまだ未開拓の研究領域である。最近申請者は金触媒を用いた2-アルキニルアゼチジンの開環反応の開発に成功した。今回本研究の展開として、金触媒存在下におけるアルキニルアゼチジンのもつ多様かつ特異な反応性に着目し、連続反応による含窒素複素環化合物の合成を試みる。本研究では、アルキニルアゼチジンを分子デザインすることで多様な反応性を引き出し、様々な含窒素複素環化合物のワンポット合成法を確立する。
|
研究実績の概要 |
金触媒を用いたアルキニルアゼチジンの連続反応により、含窒素複素環化合物の新規合成法の開発を目指し、検討を行った。 はじめに申請者が見出したアルキニルアゼチジンの開環反応を基盤とした連続的環化反応の開発を試みた。即ちアゼチジン窒素原子上に電子吸引基性のアリール基が導入されたアルキニルアゼチジンに対し加熱条件下反応を行うことで、アゼチジン環の開環によるα,β-不飽和ケトンの生成、続くアニリン窒素原子からの電子の押し出しによる分子内共役付加環化反応が連続的に進行し、置換テトラヒドロキノリンが一挙に生成するか検討した。その結果、加熱条件下にて金触媒を作用させると予期した分子内環化が進行し、テトラヒドロキノリン得られることを見出した。本反応は様々な置換基が導入された基質に対し適用可能であり、その一般性について明らかにすることができた。 続いてアゼチジン窒素原子上に電子供与性のアルキル基が導入されたアルキニルアゼチジンを用いた検討を行った。その結果、水存在下にて金触媒を作用させると、予期せず置換ジヒドロフランが生成することが明らかとなった。本化合物は金触媒により活性化されたアゼチジン環に対する水の求核攻撃による開環が進行後、生じたヒドロキシ基が活性化されたアルキンに対し分子内環化が進行することで生成したと推定される。当初予想した置換ピロリジンは生成しなかったものの、本反応は様々な置換基が導入された基質に対し適用可能であり、相当する置換ジヒドロフランを高収率で与えることが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題において、電子吸引基性のアリール基が導入されたアルキニルアゼチジンを用いた置換テトラヒドロキノリンの合成研究については、当初予想した通りの研究成果が得られており、研究は順調に進展しているといえる。またアゼチジン窒素原子上に電子供与性のアルキル基が導入されたアルキニルアゼチジンを用いた検討については、置換ジヒドロフランが予期せず生成することが明らかとなった。本反応においては当初予想した置換ピロリジンは得られなかったものの、反応機構的に興味深く、本研究成果を起点として新たな研究の展開が期待できるため、本研究課題はおおむね順調に進展しているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
アゼチジン窒素原子上に電子供与性のアルキル基が導入されたアルキニルアゼチジンを用いた検討については、予期せず置換ジヒドロフランが生成することが明らかとなった。今後は金触媒とともにルイス酸共存下にて本反応を試みる予定である。本条件下ではルイス酸によるアゼチジン環の活性化が起こることで求核剤に対する反応性が変化し、また水以外の求核剤との反応性についても向上することが期待できる。さらにアゼチジン窒素原子上にアシル基が導入されたアルキニルアゼチジンを用いた連続反応の開発を試みる。本基質に対し求核剤存在下金触媒を作用させることで、活性化されたアルキンにするアシル酸素原子の分子内求核付加、続く求核剤による開環が連続的に進行し、1,3-オキサゾシン体が生成するか検討する。
|