研究課題/領域番号 |
23K06044
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大西 英博 北海道大学, 薬学研究院, 准教授 (70399955)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 金触媒 / ビニリデン / アルキン / 挿入反応 / 触媒的不斉合成 / 金 / エナンチオ場選択的 / 不斉合成 |
研究開始時の研究の概要 |
アルキンとAu錯体との反応で生成するAu-ビニリデン錯体の新たな反応性の探索研究を行う。また、Au-ビニリデン錯体を経由する新たな反応を開発し、エナンチオ場選択的な反応へ展開することで、これまで全く報告例のないビニリデン錯体を経由する触媒的不斉反応を開発する。
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研究実績の概要 |
ビニリデン錯体の中でも、比較的研究例の少ない「Au-ビニリデン錯体」に注目し、触媒的不斉反応への応用も目指し検討を行った。まず、側鎖にアルキンを持つジヒドロシランとAu触媒との反応が、Au-ビニリデン錯体を経由して、ベンゾシロール誘導体を与えるか調べることにした。その結果、NHCを配位子に持つAu触媒を用いると、反応は効率よく進行し、ベンゾシロール誘導体が良好な収率で生成することを見出した。一方、興味深いことにAuClを触媒とすると先の反応で得られてたベンゾシロールの構造異性体が単一生成物として得られることも明らかになった。また、NHCを配位子とした反応において、Au-ビニリデン錯体を経由する反応かどうか調べるために、いくつか実験を行ったが、現在のところ、Au-ビニリデン錯体を経由する反応であるという実験的な証拠は得られていない。そこで次に、本反応の基質の適用範囲を調べることにした。アルキンとジヒドロシランを繋ぐ芳香環上に置換基を導入したところ、アルキンのパラ位やメタ位に置換基を導入しても良好な収率で反応が進行することがわかった。一方、オルト位に置換基を導入すると立体障害のためか、収率が著しく低下した。一方、シリル原子上の芳香環はその置換基の性質によらず、目的のベンゾシロール誘導体を与えた。また、芳香環の代わりにビニル基を導入しても反応は進行した。さらに、アルキン末端の置換基に関してもいくつか検討し、TMS基の代わりにTIPS基も本反応に許容であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Au(I)触媒によるSi-H結合の活性化を伴うベンゾシロール誘導体の新規合成法の開発に成功した。また、本反応の基質の適用範囲を明らかにすることができた。現在、本反応の反応機構を明らかにすべく、検討中である。さらに、本反応を触媒的不斉合成に展開すべく、光学活性なAu(I)触媒を合成し、反応を行っており、おおむね順調に進展しているものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
光学活性な様々なNHC配位子を合成し、 新たに開発した反応を触媒的不斉合成へと展開する。現在のところ、IPrを母骨格とするNHCのみで、効率よく反応が進行することが明らかになっている。したがって、類似の光学活性配位子を合成して、反応を検討する。一方、AuClを触媒とする反応も同様に不斉反応へ応用できるか調べたい。こちらの反応では、配位子を持たないAuClが最も良好な収率でベンゾシロール誘導体を与えることがわかっている、そこで、窒素系の配位子やオレフィン系の配位子を試すことで、同様の反応が進行するか検討し、本反応が不斉合成へと展開できる可能性があるかどうかを明らかにする。また、Au-ビニリデン錯体の新たな反応性の探索という観点から、Si-H結合以外の他の結合も活性化が可能か検討したい。例えば、P-H結合やS-H結合なども同様に、Au-ビニリデン錯体と反応するか検討を加え、新たな反応性の創出を目指す。
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