研究課題/領域番号 |
23K06054
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
堤 亮祐 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 助教 (90801697)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | アミド化 / 触媒 / ホウ素 / 有機合成化学 / カルボン酸 |
研究開始時の研究の概要 |
B, N, Oのヘテロ原子のみからなる特殊ヘテロ環DATB (1,3-dioxa-5-aza-2,4,6-triborinane) は、カルボン酸とアミンの直接脱水縮合触媒として働く。本研究では、DATB触媒の構造修飾によりアミド化触媒活性向上と、不斉触媒への展開を目的とする。さらに、DATBが持つカルボン酸の活性化能に着目し、カルボン酸を原料とする多様な分子変換を可能にする新しい触媒機能を開拓する。本研究課題の推進により、真に実践的なアミド合成手法を追求するのみならず、 容易に入手可能なカルボン酸を触媒的な分子変換に用いるための新たな戦略を示したい。
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研究実績の概要 |
現在、アミドは専らカルボン酸とアミンに対し縮合剤を作用させて合成されるが、カルボン酸に対して量論量以上の縮合剤を投入する必要がある点、付随して縮合剤に由来する量論量以上の廃棄物が生成する点が大きな問題となる。そのためグリーンケミストリーの観点から、量論量の試薬を排したカルボン酸とアミンの触媒的脱水縮合が古くから研究されている。本研究では、B3NO2型ヘテロ6員環を有する1,3-Dioxa-5-Aza-2,4,6-TriBorinane (DATB) のアミド結合形成触媒能に着目し、本年度は工業的応用を視野に入れた触媒活性のさらなる向上とDATBの触媒機構に着目した新規触媒反応の開発に取り組んだ。具体的には、DATB分子内に基質であるカルボン酸またはアミンの認識部位を組み込んだ新規基質認識型DATBの開発を目指した。最近開発したDATBの改良合成法を駆使することで設計した触媒の多くは実際に合成可能であり、モデル基質を用いた触媒活性評価を実施した。現在のところ、オリジナルのDATBを凌駕する活性を有する誘導体は見出していないが、今後さらなる誘導体化により構造活性相関を精査することで、高活性触媒の導出を目指す。また、これまで未開拓であったDATBを用いるアミド化以外の触媒的合成法の開発を志向し、本年度は遷移金属触媒との協働を念頭に、金属配位部位を導入した複合機能型DATBの創出に取り組んだ。これまでに、遷移金属に配位可能な官能基を有するいくつかの誘導体を合成しており、一部については数種の金属塩との錯形成を示唆する実験結果が得られた。今後金属錯体を用いた新規触媒的分子変換の開拓を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DATBを市販化合物から2工程で合成できる改良合成法を最近見出し、一定の一般性は確認していたものの、酸・塩基性官能基を有する多様な誘導体合成に適用可能であるかは未知であった。今回、様々な官能基を持つDATB誘導体の迅速な合成に成功し、その汎用性を示すことができた。また、一部の誘導体を合成できなかった点については、ホウ素原子特有の性質を考慮することで説明可能であり、官能基とB3NO2環間の適切なリンカー長についても知見が得られた。さらに金属配位型DATBの合成と錯体化への道筋を示した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は本年度に構築した基質認識型DATB誘導体ライブラリーのさらなる拡充により高活性アミド化触媒の創製に取り組む。また、本年度に合成した金属配位型DATBを種々のモデル反応へ適用して触媒機能を探索する。並行して、導入する配位性官能基の多様化を目指す。
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