研究課題/領域番号 |
23K06065
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
能代 大輔 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (90751107)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | オートファジー / 液―液相分離 / ポリユビキチン / 高速原子間力顕微鏡 / 天然変性領域 |
研究開始時の研究の概要 |
液―液相分離して生じる相分離液滴は多彩な細胞内現象と関連している。哺乳細胞において、選択的オートファジーによるポリユビキチン化凝集タンパク質の分解に関わるp62は相分離液滴を形成するが、適切に隔離膜に包まれ分解されるためにはその液体度が重要である。多くの相分離タンパク質と同様に、p62やp62液滴構成因子は柔軟性の高い天然変性領域を含み、他の分子との多価の結合部位を持つ。液体度の異なる液滴の構造や隔離膜との相互作用を明らかにすることは特定の疾患の根本を理解する上でも重要である。本研究では高速原子間力顕微鏡やcryo電子顕微鏡によってこれらを可視化し、液滴選択性の構造基盤を明らかにする。
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研究実績の概要 |
オートファジーは、タンパク質やオルガネラ等の細胞内成分をリソソームで分解する機構であるが、主に飢餓時に誘導される非選択的な機構以外に、特定のタンパク質やオルガネラを選別する選択的な経路(選択的オートファジー)が存在する。その中で、凝集タンパク質の分解に関わるp62複合体が、液―液相分離して生じる液滴(相分離液滴)を形成すること、液滴が適切に隔離膜に包まれ、リソソームに運ばれるためには、その液体としての性質(液体度)が重要であることが分かってきている。p62タンパク質を含めた相分離タンパク質の一般的な特徴として、柔軟性の高い天然変性領域を含み、他の分子と相互作用するための多価の結合部位を持つことが挙げられる。液滴を構成する分子によってどのように液体度はどのように異なるのか、液滴内における液滴構成分子同士の相互作用の様子はどのようになっているのか、また、隔離膜との相互作用はどのようになっているのかという点について、高速原子間力顕微鏡や電子顕微鏡を用いて構造基盤を明らかにすることを目的として本研究を開始した。 令和5年度は、p62液滴を構成するタンパク質の調製、ならびに、p62と結合するポリユビキチン鎖の高速原子間力顕微鏡観察を行った。ポリユビキチン鎖は、ユビキチンどうしがペプチド結合もしくは配列内に7つ存在するリジン残基を介したイソペプチド結合により連結して形成される。分岐の異なるポリユビキチン鎖を高速原子間力顕微鏡で観察した結果、平均的な長さや運動性が異なることが分かってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は分岐の異なるポリユビキチン鎖の調製、構造解析用の高純度のp62タンパク質の調製を行った。ポリユビキチン鎖は、ユビキチン単位がC末端カルボキシ基とリジン残基のε-アミノ基との間のイソペプチド結合を介して連結した分岐型(K48鎖やK63鎖)、あるいはC末端カルボキシ基とN末端メチオニンのα-アミノ基との間のペプチド結合を介して連結した直鎖型(M1鎖)が存在する。本年度は、K48鎖、K63鎖、M1鎖の調製と高速原子間力顕微鏡観察を行い、各々の動的な構造を可視化した。ポリユビキチン鎖の分岐の違いにより、平均的な長さや運動性に違いが見られることが分かってきた。
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今後の研究の推進方策 |
分岐の異なるポリユビキチン鎖ごとに、p62の液滴の性質にどのような違いが生じるのかを蛍光顕微鏡観察によって引き続き調べていく。また、p62タンパク質と各種ポリユビキチン鎖との相互作用を高速原子間力顕微鏡や電子顕微鏡によって可視化し、液滴の性質の違いの構造基盤を明らかにしていく。
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