研究課題/領域番号 |
23K06074
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
|
研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
米田 誠治 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 教授 (60425056)
|
研究分担者 |
平本 恵一 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 准教授 (90251793)
植村 雅子 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 助教 (70511997)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 白金 / 金属錯体 / DDS / ナノ粒子 / 免疫 / がん |
研究開始時の研究の概要 |
我々が分子設計したテトラゾラト架橋白金(II)二核錯体(テトラゾラト架橋錯体)は、顕著な腫瘍増殖抑制活性と優れた効果持続性を発揮する。本研究では、その要因の一つと考えられる免疫賦活活性の作用機序を明らかにするとともに、高分子ミセル型ナノ粒子を用いた薬物送達術(Drug Delivery System,DDS)を駆使して、更なる薬効の向上と副作用の軽減を図る。作用機序の解明とDDS化を柱とした創薬研究を、マウスを用いた in vivo 実験を中心に遂行する。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、費用対効果に優れた抗がん剤を創出し、がん患者の生活の質(Quality of Life,QOL)を大幅に改善することである。研究代表者らが分子設計したテトラゾラト架橋白金(II)二核錯体(テトラゾラト架橋錯体)は、顕著な腫瘍増殖抑制活性と優れた効果持続性を発揮する。本研究では、その要因の一つと考えられる免疫賦活活性の作用機序を明らかにするとともに、高分子ミセル型ナノ粒子を用いた薬物送達術(Drug Delivery System,DDS)を駆使して、更なる薬効の向上と副作用の軽減を図る。作用機序の解明とDDS化を柱とした創薬研究を、マウスを用いた in vivo 実験を中心に遂行する。 初年度は、リード化合物の大量合成を念頭に、クロマトグラフィーを用いた高効率な精製法の確立を試みた。その結果、従来の再結晶法よりも収率が向上し、一連のin vitro およびin vivo実験やナノ粒子作成に用いるための、高品質で十分な量のリード化合物を確保することができた。 また、EPR効果(enhanced permeability and retention effect)の享受に適した粒度分布を有するナノ粒子に、リード化合物を封入することに成功した。 さらに、リード化合物による免疫賦活作用機序に関して、がん細胞免疫に関わるMHC-1分子の細胞表面における発現量を測定するために、フローサイトメトリーを用いた予備的な実験を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
テトラゾラト架橋錯体が多くの水素結合ドナー(4つのアンモニア配位子と1つのOH架橋)を分子内に有するカチオン性錯体であることから、酸性タンパク質(生理的 pHでアニオン)のアルブミンと結合すると推定した。アルブミンを薬物キャリアとして使用する製剤の開発が行われており、それらは臨床試験や前臨床試験で評価されている。実際に、In silico docking studyを実施した結果、一連のテトラゾラト架橋錯体がアルブミンの酸性アミノ酸クラスター部位(複数のカルボン酸イオンが空間的に密集した部位)に強く結合することが示唆された。そこで、リード化合物の非常に高い腫瘍増殖抑制活性は、アルブミン複合体形成によるEPR効果を享受しているのではないかと考え、より高効率にリード化合物を腫瘍組織にさせるために、PEG-ポリ酸性アミノ酸によって形成される高分子ミセル型ナノ粒子にリード化合物を包含させるDDS化を行った。初年度終了時点では、ナノ粒子の作成に成功している。しかしながら、ナノ粒子を用いたin vivo実験はまだ行えておらず、EPR効果によるリード化合物の腫瘍集積性評価はまだ行っていない。
|
今後の研究の推進方策 |
初年度に遂行できなかった腫瘍集積性を評価するためのin vivo実験を早期に実施する。 また、リード化合物による免疫賦活活性作用機序を明らかにするために、リード化合物投与によるマウスの免疫賦活作用を担がんマウスを用いて再確認するのはもちろんのこと、その程度をNK細胞、好中球およびマクロファージレベルを指標に解析する。実際にはマウスを用いたマクロファージの貪食活性試験およびリポ多糖類(LPS)投与との比較によるサイトカイン分泌の測定を行う。 さらに、がん細胞免疫に関わるMHC-1分子の細胞表面における発現量について、フローサイトメトリーを用いて測定する。
|