研究課題/領域番号 |
23K06076
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 第一薬科大学 |
研究代表者 |
中原 広道 第一薬科大学, 薬学部, 教授 (00513235)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ナノ機能材料 / ナノ医薬 / 肺サーファクタント / 複合材料 / フッ素化合物 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者等は動物由来型肺サーファクタントに替わる安全・安価で且つ効果的な人工調製型肺サーファクタントの開発研究に着手している。呼吸窮迫症候群(RDS)は、肺サーファクタントの欠如や機能不全が原因で発症するが、牛肺由来の肺サーファクタントにより劇的に改善される。本研究では①肺の呼吸運動に伴う膜分子の表面排除と可溶化現象の相関性の解明、②肺胞表面におけるイオン分布とその遷移メカニズムの解明、③表面(2D)ミセル現象を応用した革新的・機能的フッ素・ハイブリッド型肺サーファクタントの開発を目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究では、水に溶けにくい性質を持つプロゲステロンの効率的な経口投与方法について探求しています。具体的には、ジェミニ界面活性剤を使用してプロゲステロンの可溶化挙動を調べ、そのメカニズムを解明するために、高度なNMR技術を用いた分析を行いました。また、化合物の水溶解度データを基に機械学習を活用し、構造的特徴と溶解度との関係を詳細に分析しました。実験では、特定のジェミニ界面活性剤とプロゲステロンを混合し、NMRスペクトルを用いてその相互作用と位置関係を評価しました。得られたデータから、プロゲステロンはミセルの表面近くに位置しており、親水性部分がミセルの親水性環境と有利に相互作用していることが示されました。これにより、ミセルが如何にして疎水性の化合物の可溶化を促進するかの理解が深まりました。この研究は、プロゲステロンのような疎水性の高い医薬品の投与効率を向上させるための新しいアプローチを提供します。今後の研究で、ジェミニ界面活性剤と類似の分子構造を持つサーファクタントの相互作用を詳細に解析することで、肺サーファクタントの働きをより深く理解し、呼吸器系の疾患治療に役立つ新しい治療法の開発に貢献することを目指します。この研究成果は、医薬品開発だけでなく、生体内での界面活性剤の役割を解明する基礎研究にも重要な影響を与えることが期待されます。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験の結果が一貫して私の仮説を支持していること、および技術的な問題が予想よりも少なく、計画通りに進んでいることに基づいています。特に、プロゲステロンの可溶化メカニズムの解明という当初の目標に対して、NMR技術を活用した分析が成功し、期待した通りの結果が得られました。また、機械学習を用いた化合物の水溶解度データの解析も予定どおり進行し、有用な結果をもたらしています。さらに、得られた知見が将来の研究に対して有意義な方向性を提供しており、特に肺サーファクタントの機序解明への応用可能性を開くものと考えられます。これらの進捗は、計画した研究スケジュールに沿って進行しております。このような背景から、研究が順調に進んでいると自己評価しています。
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今後の研究の推進方策 |
現在のNMR技術によるデータ収集をさらに詳細化し、プロゲステロンの可溶化過程における未知の相互作用や構造変化を明らかにします。加えて、機械学習モデルの精度を向上させるために、さらに多くの化合物データを収集し、より高度な予測モデルを開発します。 実験プロセスにおけるボトルネックを特定し、効率化を図ります。特に、サンプルの準備と分析時間を短縮するための新しい技術や装置を導入することを検討します。また、分子動力学シミュレーションなどの計算化学技術を導入して、実験結果の理論的解析を強化します。今後、研究成果を少なくとも3件の学術論文として報告する計画です。
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