研究課題/領域番号 |
23K06086
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 明治薬科大学 |
研究代表者 |
深水 啓朗 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (20366628)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ラマン分光法 / リポソーム / 脂質 / プローブ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではラマン分光測定を活用し,リポソームを構成する脂質および有効成分の構造を評価する技術を開発する.具体的には,脂質のアルキル側鎖に由来するラマン散乱のピーク強度比を測定することによって,リポソームの殻を形成する脂質二重層における脂質の充填構造,ひいてはリポソームの強度あるいは薬物の放出性と密接な関わりが想定される膜の流動性について評価する.また,リポソームに内包される有効成分の分子状態について,結晶性の指標となる特性ピークを解析する.ここで得られた知見は,医薬品の開発過程全般にわたって活用できることから,実製造後の品質管理までをも見据えた分析技術となることが期待できる.
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研究実績の概要 |
本研究ではラマン分光測定を活用し,リポソームを構成する脂質および有効成分の構造を評価する技術を開発する.具体的には,脂質のアルキル側鎖に由来するラマン散乱のピーク強度比を測定することによって,リポソームの殻を形成する脂質二重層における脂質の充填構造,ひいてはリポソームの強度あるいは薬物の放出性と密接な関わりが想定される膜の流動性について評価することを目的としている.また,リポソームに内包される有効成分の分子状態について,結晶性の指標となる特性ピークを解析し,リポソームからの薬物放出に関わる因子の特定につなげることを企図した. 初年度である2023年度は,プローブ型ラマン分光計を用いて,リモートローディング(RL) 法によって調製したリポソームおよびシプロフロキサシン塩酸塩(CPFX)封入リポソームにおける透析工程のラマンスペクトルを経時的に測定した.そもそもラマン分光法は低感度が課題であるが,ボールプローブの周囲に透析膜を装着し,試料を検出器の近傍に密着させる工夫により,良好なスペクトルを得ることに成功した. 精度良く定量することに成功した一例について述べると,RL法によって調製されたCPFX封入リポソーム(CPFX-RLL)のラマンスペクトルにおいて,CPFX由来のピーク強度は薬物封入時に増加し,薬物放出により低下した.全てのラマンモニタリングにおいて,ラマン分光法と部分最小二乗(PLS)解析の併用によって算出されたリポソーム中のCPFX濃度の定量値と,UV測定によって得られた定量値の差は6.7%以内であった.したがって,ラマン分光法とPLS解析を併用したリポソーム製剤の定量評価は,一般的な手法であるUVによる評価と同等の精度であることが示された.これらの結果より,ラマン分光法がリポソーム製剤の品質評価の革新的な方法となる可能性を示すことができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調製したリポソームの形態を観察するCryo-TEMおよび微細構造を推定できるSAXS測定について,千葉大学大学院 製剤工学研究室の協力が得られたため,調製したリポソームの詳細なキャラクタリゼーションが可能となり,研究の進展に大きく寄与した.
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今後の研究の推進方策 |
リポソームに封入する薬物をCPFXだけでなくイリノテカンやドキソルビシンなどについても検討し,千葉大学で先行して得られている知見と比較するとともに,Cryo-TEMによる形状観察と1H-NMR測定を並行して行い,視覚的な評価に加えてCPXの分子運動性について検討することで,ラマン分光法の考察を深める.
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