研究課題/領域番号 |
23K06096
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
堺 弘道 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (00375255)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ジアシルグリセロールキナーゼ / 骨格筋 / 筋形成 / 筋再生 / 褐色脂肪組織 / 2型糖尿病 / 脂質代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
2型糖尿病(インスリン抵抗性)の改善のためには,食生活の乱れや運動不足により低下した骨格筋の機能(インスリン感受性・グルコース取り込み能)と量の回復,そして肥満の改善が重要である.すでに,ジアシルグリセロールキナーゼδ(DGKδ)は骨格筋の機能の維持及び亢進に決定的な役割を担うことを明らかにした.本研究は,生体レベルで①DGKδによる骨格筋と肥満抑制に関与する褐色脂肪組織の形成制御機構を解明し,さらに,②DGKδの発現調節による骨格筋・褐色脂肪組織形成への影響を明らかにすることで,骨格筋の機能改善と量増加,肥満抑制という三重に効果的な,DGKδを分子標的とした新規2型糖尿病治療法の開発への展開を目指す.
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研究実績の概要 |
2型糖尿病の改善のためには,食生活の乱れや運動不足により低下した骨格筋の機能(インスリン感受性・グルコース取り込み能)と量の回復,そして肥満の改善が重要である.以前の研究は,ジアシルグリセロールキナーゼδ(DGKδ)が骨格筋細胞におけるグルコースの取り込みを制御することを明らかにしている.そこで,本研究はDGKδが骨格筋形成(筋量の回復)や肥満改善にどのように関わっているかを明らかにすることを目的とした. Myf5は骨格筋前駆細胞と褐色脂肪前駆細胞に発現する.そこで,Myf5-CreマウスとDgkdflox/floxマウスを用いて,骨格筋及び褐色脂肪組織特異的なDGKδ欠損マウスを昨年度までに作製した.今年度においては本マウスの解析を進め,5週齢の雄マウスにおいて体重が4.5%減少し,16週及び24週齢の雄マウスにおいてはそれぞれ7.9%,7.8%に減少することを示した.また,この時,骨格筋量(前脛骨筋,長趾伸筋,腓腹筋,ヒラメ筋量の総和)についても5週齢で6.7%,24週齢で10%以上週齢依存的に減少することを見出し,DGKδ欠損が筋発達に影響することを見出した.また,肩甲骨付近に存在する褐色脂肪組織の量も両週齢において10%以上減少する傾向を示した. さらに,DGKδの欠損における骨格筋(前脛骨筋)への影響を分子レベルで評価した.しかし,5週及び24週齢のマウスにおいては分化マーカー(myogeninなど)の発現量は低く,十分な解析が困難であったため,カルジオトキシンを用いて前脛骨筋に障害を与え,筋修復への影響を調べた.その結果,投与5日後のDGKδ欠損マウスにおいて,筋形成(再生)のマーカーであるeMyHC,myogenin,β-actinの発現量がそれぞれ31,17,21%減少することを明らかにした.これらの結果は,DGKδ欠損は筋障害からの再生を抑制することを示している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度においては,DGKδ欠損マウスの骨格筋への影響を評価し,体重依存的に骨格筋量が減少すること,そして,生化学的アプローチは,DGKδ欠損は筋障害からの回復を抑制することを示した.従って,今年度における進捗は「おおおむね順調に進展している」とした.
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究において,DGKδ欠損マウスの肩甲骨付近の褐色脂肪組織の量が減少する傾向を示した.そこで,次年度はDGKδの褐色脂肪組織における役割について分子レベルで検討を行い,肥満との関連性について評価を行う予定である.一方で,DGKδはジアシルグリセロール(DG)をリン酸化してホスファチジン酸(PA)を産生する酵素であり,生体内には50種以上の分子種が存在するとされる.従って,DGKδはどのDG,PA分子種を代謝・産生するのかを,DGKδ欠損マウスの骨格筋及び褐色脂肪組織を用いて明らかにする.また,その代謝・産生によって制御される分子機構についても検討を行う.さらに,DGKδの発現を調節(増加)させた時には,DGKδ欠損マウスで得られた変化とは逆になることを明らかにしていく予定である.
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