研究課題/領域番号 |
23K06102
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
秋山 雅博 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 特任講師 (60754570)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 硫黄修飾 / 腸内細菌 / 超硫黄分子 / 環境中化学物質 |
研究開始時の研究の概要 |
腸内細菌は様々な代謝物を産生する能力を有し、それら代謝物が消化管内を超えて全身臓器機能に影響する。このことから、腸内細菌叢は肝臓と同程度の代謝能力を持つ「新たな臓器」と考えられている。しかしながら、腸内細菌によるタンパク質機能がどの様に調節されているのかは殆ど理解されていない。 タンパク質機能の制御機構として活性硫黄分子によるチオール基に対する硫黄修飾が知られる。また、環境中化学物質は硫黄修飾部位の硫黄原子と反応することが知られている。これらの知見に基づき、本研究では硫黄修飾による腸内細菌タンパク質の機能制御および環境中化学物質曝露による脱硫黄化を介した菌叢代謝プロセスへの影響を検討する。
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研究実績の概要 |
腸内細菌は体内全体に影響を与える代謝物を生産し、肝臓と同様の役割を果たす「新たな臓器」とみなされる。しかし、腸内細菌のタンパク質機能の調節メカニズムは不明である。本研究はタンパク質機能の制御機構として硫黄修飾に着目し、腸内細菌タンパク質における硫黄修飾と脱硫黄化の役割を検討することを目的とした。 腸内細菌は1000種類以上の多種多様な菌種が存在しており、それらが多種多様なタンパク質を有している。そこで、はじめに菌種によるタンパク質の硫黄修飾度合いの違いを調べたるため、各菌株を単菌培養しタンパク質を抽出後、biotin-PEAC5-iodoacetamide (IAM)-precipitation assayとSDS-PAGEを用いて硫黄修飾される菌タンパク質を調べた。その結果、菌種によってタンパク質チオール基への硫黄修飾度合いが異なることが明らかになった。このことは菌種によって硫黄修飾を利用したタンパク質制御の寄与度合いが異なる可能性を意味している。さらに興味深いことに、外部からの超硫黄分子の添加により、一部の菌種では硫黄修飾度合いが上昇し、菌体内タンパク質の代謝活性が低下した。つまり、一部の菌種では外部または内部での硫黄代謝の変化によって、硫黄修飾度合いが変化したことから、菌体内または腸管内の硫黄代謝の変化がそれら菌で硫黄修飾を介したタンパク質機能の制御機構として働いている可能性が考えられた。また、環境中化学物質曝露による脱硫黄化を介した腸内細菌タンパク質の機能変化を検討するための、環境中化学物質の曝露濃度を決定するために、各種腸内細菌種に対する環境中化学物質曝露に対する毒性試験を行い、毒性が観られない曝露濃度を決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は腸内細菌タンパク質における硫黄修飾の基礎的なデータを取得することを目的とした。その結果、タンパク質チオール基への硫黄修飾の度合いが、菌種によって異なることを明らかにした。さらに、一部菌種では菌体内外の硫黄レベルの上昇によってタンパク質チオールへの硫黄修飾が亢進され、一部タンパク質の代謝活性を抑制することを明らかにした。また、環境中化学物質による脱硫黄化を介した腸内細菌タンパク質への機能変化を検討するために、各菌種に対する環境中化学物質曝露に対する毒性試験を行い、毒性が見られない濃度域を決定した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに基礎的なデータとして硫黄修飾される腸内細菌タンパク質をラベル化し分離することに成功した。また、硫黄化修飾による菌体タンパク質機能が変化しうる菌種も明らかにした。次年度はこれらのサンプルおよびデータを元に硫黄修飾されるタンパク質や硫黄修飾部位の同定を質量分析装置を用いて行う。また各菌種に対する環境中化学物質が毒性を示さない曝露濃度を決定したので、次年度はこれら濃度を最大値として、環境中化学物質曝露による脱硫黄化を介した腸内細菌タンパク質の機能変化について検討する。
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