研究課題/領域番号 |
23K06110
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
今江 理恵子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (60584000)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 膵癌 / CDP-グリセロール / CDP-エタノールアミン / グリセロール-3-リン酸含有糖鎖 / 癌 |
研究開始時の研究の概要 |
グリセロール-3-リン酸含有糖鎖合成のドナー基質であるCDP-グリセロールの合成制御機構について、特にその合成酵素であるPCYT2の制御機構に着目して解明する。次に、その機構を利用してCDP-グリセロールを増減させた癌細胞における表現型を解析することで、グリセロール-3-リン含有糖鎖の癌細胞における役割を明らかにする。さらに、グリセロール-3-リン含有糖鎖を持つ分子、及び糖鎖構造の違いによる機能変化を調べることで、グリセロール-3-リン含有糖鎖の機能を分子レベルで明らかにする。
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研究実績の概要 |
近年、糖鎖の新たな構成分子としてグリセロール-3-リン酸(Gro3P)が発見されたが、Gro3Pを含有する糖鎖の役割はまだほとんど明らかになっていない。Gro3Pが糖鎖に導入される際のドナー基質であるCDP-グリセロール(CDP-Gro)は癌細胞に多い傾向が見られることから、癌細胞におけるGro3P含有糖鎖の役割の解明を目的とする。本研究では特に、未だ良い診断法、治療法が確立されていない膵癌に着目した。まず、膵癌由来細胞株であるMIA PaCa-2細胞を用いて、CDP-Groの合成酵素であるPCYT2を発現抑制する系を構築した。PCYT2をターゲットとするsiRNAを複数設計し、それぞれMIA PaCa-2細胞にトランスフェクションしたところ、いずれもPCYT2が良く発現抑制されることが確認された。一方、PCYT2はCDP-エタノールアミンの合成酵素でもあり、生体膜リン脂質の主要な構成成分であるホスファチジルエタノールアミンの合成経路において重要な役割を果たす。そのため、PCYT2の発現抑制により、CDP-GroのみならずCDP-エタノールアミンの合成も減少し、リン脂質合成に影響する可能性が考えられる。そこで、PCYT2発現抑制時のCDP-Gro及びCDP-エタノールアミンの量を測定したところ、いずれのsiRNAを用いた場合にもCDP-Groの顕著な減少が確認されたが、あるsiRNAを用いた場合には、CDP-エタノールアミン量がほぼ維持されていることが分かった。実際、CDP-GroとCDP-エタノールアミンが共に減少する発現抑制系では、リン脂質の組成にも顕著な変化が見られたが、CDP-エタノールアミン量が維持されている発現抑制系では、リン脂質にはあまり大きな影響がないことが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CDP-グリセロールの合成酵素であるPCYT2の発現抑制系の構築は、Gro3P含有糖鎖の役割の解明において重要である。しかし、PCYT2はリン脂質合成にも重要な役割を果たす酵素であることから、リン脂質への影響も考慮する必要がある。これまでの検討から、リン脂質に大きな影響を与えずにCDP-グリセロールのみ減少させることが可能な系を構築できたことは大きな進展であり、この系を用いることで、Gro3P含有糖鎖の機能を解析することができると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今回構築したPCYT2の発現抑制系を利用して、MIA PaCa-2細胞においてCDP-グリセロールのみを減少させた時の癌細胞の表現型(細胞増殖能、遊走・浸潤能など)を調べる。また、PCYT2の活性制御メカニズムを解析することで、CDP-GroとCDP-エタノールアミンの合成制御機構を明らかにする。
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