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AADACによる毒性防御および生体恒常性維持に対する鉄イオン濃度制御の重要性解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K06113
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
研究機関金沢大学

研究代表者

深見 達基  金沢大学, 薬学系, 准教授 (00532300)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワードAADAC / 加水分解酵素 / フェロトーシス / 肝障害 / 鉄 / 薬物代謝酵素 / 薬物毒性 / 脂質代謝 / 鉄代謝
研究開始時の研究の概要

アリルアセタミドデアセチラーゼ (AADAC)は医薬品分解酵素として認知されているが、近年、脂質代謝や肝障害緩和、トゥーレット症候群という脳疾患の発症リスクと関連することも報告されており、医薬品代謝機能以外の作用も有することが示唆されている。しかし、どのようにしてAADACはその生理学的機能を発揮するか明らかにされていない。これまでの検討により、鉄イオンがAADACの生理学的機能を発揮するための鍵となっているのではないかと考えられたため、本研究では、AADACが鉄濃度を制御するメカニズムを明らかにし、疾病治療につながる情報基盤を構築する。

研究実績の概要

アリルアセタミドデアセチラーゼ (AADAC)は医薬品加水分解酵素として機能的役割が明らかにされてきたが、近年申請者はAADACが鉄制御に関わるセルロプラスミンと相互作用していることを見出した。AADACが高く発現している肝臓中の鉄濃度が上昇すると酸化ストレスによる細胞死、フェロトーシスが引き起こされやすくなる。そこで、野生型マウスおよびAadacノックアウトマウスにフェロトーシスにより肝障害を引き起こすことが知られている四塩化炭素およびアセトアミノフェンを投与したところ、Aadacノックアウトマウスにおいて野生型マウスよりも血漿中肝障害パラメータであるALTもしくはAST値が高く認められた。鉄キレート剤であるデフェロキサミンを処置前投与したところ、四塩化炭素およびアセトアミノフェン投与によって認められていた血漿ALTもしくはAST値は低下し、野生型とAadacノックアウトマウスで同程度の値で認められた。また、肝臓中の鉄濃度もAadacノックアウトマウスの方が野生型マウスよりも有意に高い値で認められた。以上より、Aadacは鉄濃度を制御することで薬物誘導性肝障害の感受性を減弱する役割を有することが示された。
化学構造学的に、キノンやキノンイミン体を反応性代謝物として生成する薬物はフェロトーシスによる肝障害を引き起こす可能性が考えられる。そこで反応性代謝物としてキノンイミン体の生成が示唆されている抗マラリア薬アモジアキンをマウスに投与したところ、野生型マウスにて肝障害を示さないnonresponder、低い血漿中ALT値を示すlow responder (LR)、高いALT値を示すhigh responder (HR) に分けられ、HRでは他群よりも高い肝臓中鉄濃度や過酸化脂質レベルが認められた。またAadacノックアウトマウスでは野生型よりもHRの割合が高く認められた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り、Aadacの有無による薬物誘導性肝障害に対する影響を鉄をキーファクターとして明らかにすることができた。鉄に関連した今後の研究展開に結びつけるものであり、概ね順調と判断した。

今後の研究の推進方策

AADACは細胞内脂質蓄積の抑制をも制御することが報告されており、申請者の研究においてもAADACを細胞に過剰発現させることで脂肪蓄積が抑制されることを証明している (Biochem Pharmacol 199: 115010, 2022)。しかし、そのメカニズムは未だ明らかにされていない。現在までの研究結果を受けて、AADACが細胞内鉄濃度を制御することが脂肪蓄積に関与しているのではないかと考えられた。
そこで、野生型およびAadacノックアウトマウスに高脂肪食を与えて肝臓内脂肪蓄積程度を比較評価する。また、小胞体ストレスと脂肪肝との関連性も報告されているので、両マウス群に小胞体ストレスを引き起こすツニカマイシンを処置することでも肝臓内脂肪蓄積程度を比較評価する。鉄キレート剤のデフェロキサミンやAADACを誘導する化合物が脂肪肝を抑制するかも合わせて評価する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Role of carboxylesterase and arylacetamide deacetylase in drug metabolism, physiology, and pathology2024

    • 著者名/発表者名
      Mai Nagaoka, Yoshiyuki Sakai, Miki Nakajima, Tatsuki Fukami
    • 雑誌名

      Biochemical Pharmacology

      巻: 223 ページ: 116128-116128

    • DOI

      10.1016/j.bcp.2024.116128

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] アリルアセタミドデアセチラーゼはフェロトーシス抑制を介して薬物性肝障害に保護的に働く2023

    • 著者名/発表者名
      篠原颯志、深見達基、内嶋聖允、廣澤啓也、長岡茉唯、酒井慶之、中野正隆、中島美紀
    • 学会等名
      日本薬学会北陸支部 第135回例会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] アリルアセタミドデアセチラーゼは肝臓内鉄濃度を低下させることで薬物誘導性フェロトーシスに対して保護作用を示す2023

    • 著者名/発表者名
      篠原颯志、深見達基、内嶋聖允、廣澤啓也、長岡茉唯、中野正隆、中島美紀
    • 学会等名
      第6回 医薬品毒性機序研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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