研究課題/領域番号 |
23K06124
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
原 雄大 近畿大学, 薬学部, 講師 (20803779)
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研究分担者 |
中山 隆志 近畿大学, 薬学部, 教授 (60319663)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | CCR4 / グリオーマ / GM-CSF / Th17 |
研究開始時の研究の概要 |
ケモカイン受容体CCR4は、制御性T細胞(Treg)やTh17細胞の主要な遊走制御因子であり、腫瘍免疫ではTregの遊走を介して抑制的な役割を果たすと考えられている。これまで申請者は、CCR4欠損マウスのグリオーマ腫瘍中でTregに大きな変化は認められないが、Th17細胞が減少し、腫瘍増殖が亢進することを見出した。さらに、脳に浸潤したTh17細胞は、末梢とは異なる遺伝子発現を示すことから、これらは脳特異的な機能を持つ新しい「脳特異的Th17細胞サブセット」である可能性を見出している。本研究課題では、CCR4を介した脳特異的Th17細胞の遊走がグリオーマに対する腫瘍免疫に与える影響を追究する。
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研究実績の概要 |
グリオーマは、脳腫瘍の1種であり、その中でもグリオブラストーマ(GBM)は最も悪性度が高い。さらに、治療薬がほとんど無く、手術での除去も困難なことより、極めて難治性である。したがって、治療戦略の開発が望まれる。 ケモカイン受容体CCR4は、制御性T細胞やTh17細胞に発現しており、病変部位へのこれらの細胞の遊走を制御することで、病態に寄与する。しかしながら、GBMにおけるCCR4および各種T細胞サブセットの役割は不明であった。申請者は、GBMにおけるCCR4の寄与について研究しており、これまでに、CCR4欠損マウスでは腫瘍増殖が亢進すること、脳内へのTh17細胞の浸潤が減少することを見出している。本研究では、CCR4を介したTh17細胞の脳内への遊走がGBMの腫瘍免疫に与える影響の解明を目指す。 Th17細胞は、IL-17Aを始めとして、IL-21やGM-CSF等の複数のサイトカインを産生する。CCR4欠損マウス腫瘍内では、これらのサイトカイン発現量が減少していた。また、Th17細胞以外の免疫細胞の浸潤について検討したところ、CCR4欠損マウスでは、腫瘍排除に関わるM1マクロファージ(MΦ)の脳内浸潤も減少していた。しかしながら、M1-MΦにはCCR4は発現していなかった。一方、その他の免疫細胞に差は無かった。続いて、M1-MΦの脳内浸潤について解析した。これまでに、MΦの主要な遊走制御機序として、CCL2-CCR2系が知られている。脳内に浸潤したM1-MΦはCCR2を発現していた。さらに、CCR4欠損マウス腫瘍内ではCCL2の発現が顕著に減少していた。GM-CSFは、CCL2を誘導することが報告されている。今回得られた結果およびこの報告を合わせて考えると、CCR4は、Th17細胞を介してM1-MΦを脳内へと浸潤することで、GBM腫瘍の増殖を抑制している可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Th17細胞由来のGM-CSFが、腫瘍内でのCCL2の発現を誘導し、M1マクロファージを脳内へと遊走することで、グリオーマ腫瘍の増殖に関与している可能性を見出した。そのため、研究の根幹の項目については順調に進行していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
Th17細胞由来のGM-CSFがグリオーマ腫瘍に与える影響についてさらに追究する。具体的には、GM-CSFに対する中和抗体を投与した際の腫瘍増殖やCCL2の発現量、M1マクロファージの浸潤の変化について検討する。また、GM-CSFが腫瘍増殖に直接影響するのかについても検討する予定である。
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