研究課題/領域番号 |
23K06130
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
古田 和幸 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (50644936)
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研究分担者 |
垣内 力 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (60420238)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 樹状細胞 / 短鎖脂肪酸 / 樹状突起伸長 / 腸内細菌 / 抗原提示 / 細菌感染 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、樹状細胞の抗原提示機能に対する細菌因子の解明を目的とする。特に、細菌が樹状細胞の抗原提示を回避する機構に着目し、その細菌因子および樹状細胞に与える作用機序を解明する。本研究における解析によって、樹状細胞の抗原提示機能に対する細菌の抑制作用を解明することで、細菌が樹状細胞を介した免疫応答を撹乱する分子的基盤を明らかにする。得られる研究成果は、細菌感染に対する樹状細胞の活性化を標的とした新たな治療法の開発に寄与すると期待される。
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研究実績の概要 |
樹状細胞は生体に侵入した病原細菌や腫瘍由来成分などの外来抗原を取り込み、主要組織適合抗原分子(MHC-IおよびMHC-II)を介して、外来抗原に由来するペプチドを T細胞に提示することで病原細菌や腫瘍に対する免疫応答を誘導する。樹状細胞の抗原提示機能は周辺環境に由来する因子によって影響を受けることが知られている。その機構として、これらの因子が樹状細胞の表面分子の発現変化を誘導し、その結果、抗原提示機能が変化すると考えられている。一方で、細菌への感染時には、樹状細胞は細菌に由来する因子の影響も受け、その結果、細菌に対する免疫応答にも影響すると考えられる。そこで、本研究では、細菌由来成分の樹状細胞の機能に与える影響を検討し、その分子メカニズムを明らかとすることを目的として解析を行った。 今年度の解析では、腸内細菌が産生する代表的な代謝産物である短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸)について樹状細胞への作用を解析した。その結果、短鎖脂肪酸は樹状細胞の樹状突起を伸長させることを見いだした。阻害剤を用いた解析によって、この突起伸長はRhoファミリーを介したアクチン重合を介して誘導されると考えられた。また、突起伸長についてその作用機構を解析した結果、短鎖脂肪酸は、ヒストン脱アセチル化酵素の阻害作用を介して樹状突起を伸長させると考えられた。また、短鎖脂肪酸で刺激された樹状細胞においては、細胞外からの抗原の取り込み、および、取り込んだ抗原の提示が亢進していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、細菌が樹状細胞に与える作用の検討を行い、腸内細菌が産生することが知られている短鎖脂肪酸について、短鎖脂肪酸による樹状細胞の突起伸長を見いだした。短鎖脂肪酸による樹状細胞の突起伸長はこれまでに知られておらず、本結果は、腸内細菌による樹状細胞の機能に対する作用の新たな知見である。またさらに、その分子メカニズムについて一部を明らかとすることができた。そのため、今年度の研究はおおむね順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は以下の解析を行う。 1. 前年度までの検討で、腸内細菌の産生する成分の一種である短鎖脂肪酸が、樹状細胞の突起伸長を促進することを明らかとした。その分子メカニズムの解明を進め、さらに、突起伸長の生理的機能の解析を行う。 2. 短鎖脂肪酸以外の細菌由来成分について、樹状細胞機能に与える影響を解析する。
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