研究課題/領域番号 |
23K06145
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47040:薬理学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
守田 匡伸 東北大学, 医学系研究科, 講師 (10519094)
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研究分担者 |
松永 哲郎 東北大学, 医学系研究科, 講師 (00723206)
井田 智章 東北大学, 医学系研究科, 助教 (70570406)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 超硫黄分子 / エネルギー代謝 / ミトコンドリア / ゲノム編集 |
研究開始時の研究の概要 |
硫黄原子が連結した構造を持つ超硫黄分子は、そのユニークな酸化還元特性に基づいて様々な生理機能を発揮する。超硫黄分子の主要産生酵素であるCARSのゲノム編集マウスの作製・解析を通して、ミトコンドリアのCARS2が産生する超硫黄分子が生体の硫黄代謝およびエネルギー代謝に深く関与していることが明らかになってきた。しかしながらCARS2ホモ欠損マウスは胎生致死を示すため、成体での超硫黄分子代謝の機能解析は困難であった。そこで本研究では成体CARS2変異マウスの解析と共に、主だった超硫黄分子代謝関連酵素群のゲノム編集マウスを解析することで、超硫黄分子の代謝制御メカニズムを個体レベルで明らかにする。
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研究実績の概要 |
ミトコンドリアにおいてシステインから合成される超硫黄(パースルフィドなど)が、アミノアシルtRNA酵素の一つであるCARS2や硫化水素キノン還元酵素 (sulfide-quinone reductase, SQR)によって産生・代謝され、エネルギー代謝に関与することが示唆されている(Akaike et al., Nature Commun. 2017)。これは、生物が酸素のみならず硫黄代謝物を利用してエネルギー代謝を営むことを意味している。この超硫黄分子の生体内における機能を分子レベルでを明らかにするため、CARS2、SQRの遺伝子改変マウスの作製および解析を行った。CRISPR/Casシステムを用いた精緻なゲノム編集により、 パースルフィド活性のみを欠損したパースルフィド不活性化(CARS2点変異)マウスの作製に成功した。このマウスを用いて、SARS-CoV-2およびインフルエンザ感染実験を行ったところ、ウイルス感染に脆弱であった。さらに解析を進めたところ、超硫黄分子が新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス感染症のみならず、肺気腫・COPD や特発性肺線維症などの難治性肺疾患の制御因子・予防治療薬となる可能性を示した。また、NOおよびホルムアルデヒドを代謝する酵素であるADH5(alcohol dehydrogenase 5)をゲノム編集を用いて、NO代謝を特異的に欠損したADH5変異マウスを作製した。このマウスを用いた解析により超硫黄分子がADH5の活性を制御し、NOによる心臓の機能を向上させることを明らかにした。この発見は、動脈硬化や心筋梗塞などの虚血性心疾患や難治性心不全などの診断、治療、予防に応用可能であり、創薬や医療技術の開発への展開が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゲノム編集により超硫黄分子の生成、代謝を調整する酵素の機能を欠損させたマウスの作製、解析により超硫黄分子のウイルス感染防御やNO代謝への機能など、本研究の目的である、超硫黄分子の生体における機能解明に関する知見を深めることができ、研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は他の超硫黄分子代謝関連酵素であるETHE1やSuox(Sulfite Oxidase)のゲノム編集マウスの作製、解析を進め、さらに超硫黄分子の生体での機能解析を進める。また、Cars2やSQR変異マウスは胎生致死、幼若期での死亡といった表現型を示すので、これらのコンディショナルKOマウスの作製、解析を行うことで超硫黄分子の成体での機能を明らかにする。
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