研究課題/領域番号 |
23K06147
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47040:薬理学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
可野 邦行 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (50636404)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 求心性迷走神経 / GPCR / DREADD / 迷走神経 |
研究開始時の研究の概要 |
求心性迷走神経に発現している多くの機能未知GPCRを効率的に解析することを目的とし、GPCRの発現パターンに基づく神経サブタイプ分類、4種類のGPCRシグナルの神経活性への影響を明らかにする。これらの結果を組み合わせることで、個々の迷走神経GPCRの機能の推定を試みる。結果の妥当性を検証するため、リゾリン脂質を認識するGPCRに着目し、特定のリゾリン脂質GPCRを薬理学的に活性化させた場合のアウトプットを解析する。さらに生体内で実際にリゾリン脂質GPCRが活性化される状況を明らかにするため、迷走神経活性が変動するマウスモデルにおけるリゾリン脂質の産生変動を質量分析技術で解析する。
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研究実績の概要 |
求心性迷走神経における様々なGPCRの役割を網羅的に洗い出すため、GPCRが共役する4つのGタンパク質(Gq, Gi, Gs, G12)シグナルを迷走神経で惹起する実験系を構築した。具体的には、4種類のDREADD(Designer Receptors Exclusively Activated by Designer Drugs)を、求心性迷走神経を構成するNodose神経またはJugular神経に対し、それらの細胞特異的なCreドライバーマウス(Phox2b-creまたはWnt-1-cre)を用いて発現させた。次いで、これらのマウスにリガンドであるCNOを投与することで任意のGタンパク質シグナルを惹起させ、それによる神経活動や臓器機能の変化を解析した。特に今年度は、急性反応を中心に解析を進め、例えば血圧や呼吸リズムの変化に対してそれぞれの求心性迷走神経Gタンパク質シグナルが異なる作用を示すことを見出した。
さらに前年度までに行ってきたscRNA-seqのデータを用い、Nodose神経およびJugular神経のそれぞれのサブタイプにおけるGPCRの発現パターンを決定した。
また、これまでに申請者が着目してきた迷走神経GPCRの1つであるLPA3に対し、上記のCreドライバーマウスを用いることで、Nodose神経およびJugular神経特異的LPA3ノックアウトマウスを作製した。これを用いて、LPA3作動薬による薬効およびLPA3グローバルノックアウトマウスの様々な表現型について、それぞれがNodose神経とJugular神経のどちらを介したものであるのかについての検証を進めた。その結果、例えば、LPA3作動薬による降圧・徐脈作用はNodose神経をLPA3シグナルが活性化することに起因するということが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた通り、4種類のDREADDを2種類のCreドライバーマウスで発現させる迷走神経DREADDマウスは問題なく作製終了し、その解析も順調に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は引き続き、迷走神経DREADDマウスを用いた解析を進める。特に慢性的な作用に着目し、長期的にGタンパク質シグナルを惹起させた場合の神経活動並びに臓器機能への影響を解析する。また、複数のGタンパク質シグナルが同時に惹起された場合の影響や、イオンチャネルの活性化への影響についても解析を進める。さらに、これらの作用を説明しうる、内在性のGPCRの同定にも取り組む。
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