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認知症予防効果におけるベタイン-GAT2連関の分子機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K06156
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分47040:薬理学関連
研究機関名城大学

研究代表者

平松 正行  名城大学, 薬学部, 教授 (10189863)

研究分担者 衣斐 大祐  名城大学, 薬学部, 准教授 (40757514)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
キーワードベタイン / トリメチルグリシン / GABAトランスポーター2 / GAT2 / アミロイドβタンパク質 / アルツハイマー型認知症 / 神経保護作用 / ベタイン(グリシンベタイン) / ベタイン/GABAトランスポーター-1 / アルツハイマー病(AD) / ホモシステイン
研究開始時の研究の概要

脳内の神経が長期間をかけて変性し、認知機能が障害されるアルツハイマー型認知症(AD)では、その発症機序が不明な点も多く、発症後に治療することは困難で、発症を抑制する予防薬の開発が重要と考えられる。我々はADモデル動物で認められる認知機能障害および海馬におけるGABAトランスポーター2(GAT2)の発現増加がベタインにより抑制されることを明らかとしているが、これらの相互作用については不明のままである。ベタインによる認知機能障害の発症予防メカニズムを解明し、超高齢社会における認知症予防薬の開発に向けた知見を得る。

研究実績の概要

アルツハイマー型認知症(AD)の脳内では、アミロイドβ(Aβ)タンパク質の蓄積とタウタンパク質の異常なリン酸化が認められる。我々はこれまでに、Aβの活性フラグメントであるAβ(25-35)をマウスの脳室内に投与するとマウスの認知機能が障害されること、この障害はトリメチルグリシン(ベタイン)の前処置により抑制されることを明らかにしている。さらに、培養細胞を用いた研究では、Aβ(25-35)または酸化ストレスを引き起こす過酸化水素水をマウス神経芽細胞腫Neuro2A細胞に処置すると、生存細胞率が低下したが、ベタインを前処置しておくとこの生存細胞率の低下が抑制された。そこで本研究では、ベタインのトランスポーターとして知られているGABAトランスポーター2(GAT2)の発現とベタインの細胞内への取り込み量の関係を調べるために、アデノ随伴ウィルス(AAV)を利用し、海馬錐体細胞におけるGAT2タンパクの過剰発現またはノックダウン(KD)を行った。また、Neuro 2A細胞の糖鎖修飾がGAT2の機能に与える影響も、引き続き検討した。GAT2過剰発現またはノックダウンを施したAβ脳室内投与マウスおよび遺伝的にAβが蓄積しやすい3×Tgマウスの認知機能を行動薬理学的解析により調べた。以上の結果から、ベタインは神経細胞に選択的に取り込まれ、神経保護効果を示す可能性が示唆された。
また、ADモデルマウス海馬において、caspase-3が記憶障害の開始と相関があることが報告されている。そこで、Aβ(25-35)投与5日後、記憶障害が見られ始める時点におけるcleaved-caspase-3の発現量を測定した。Aβ(25-35)投与により発現量が増加する傾向は見られたが、有意な変化ではなかった。この発現量の経時的変化を再確認し、その時にベタインの作用について検討していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス感染症による研究環境の変化により、年度を跨いだ研究の継続性がうまくできておらず、実験を担当する学生の研究時間が以前よりも大幅に減少、また、技術の伝承がうまくいっておらず、当初計画していた進捗よりも遅れている。特に、マウスを繁殖して利用する実験が遅れていることもあり、十分な研究活動が行えなかった。進捗はやや遅れているが、着実に進んでいると考えている。

今後の研究の推進方策

今後は、GAT2遺伝子をノックダウンするためのGAT2 shRNAを搭載したAAVの設計・作成受託費およびマウス脳内の神経毒性を調べるために、TUNELおよびFuoro-Jade染色キットを購入する。さらに、GAT2の翻訳後修飾に関わるアミノ酸変異を挿入するため、遺伝子変異挿入キットを購入し、神経障害下におけるGAT2の役割を調べる。
また、ベタインの細胞内取り込みやGAT2依存性を生体レベルで調べるため、マウス海馬にAAV-GAT2 shRNAを投与し、GAT2をKDした際の、海馬神経細胞におけるFAM-ベタインの取り込み量を調べる。また、BHMT遺伝子をGAT2発現細胞得意的に発現抑制することにより、GAT2に取り込まれたベタインが、メチオニンサイクルで利用されない場合のベタインの神経保護効果について検証する。GAT2 遺伝子プロモーター制御下にBHMTをKDするshRNAを搭載したAAV(Gat2:Bhmt-shRNA)を作製し、ADマウス海馬に投与する。その後、ベタインによる認知機能障害や神経細胞の生存・形態異常の抑制作用の変化を調べる。必要であれば、葉酸/ビタミンB12経路を阻害し、メチオニンサイクルを破綻させた際の影響も調べる。さらに、神経障害や、神経保護に関わる細胞内タンパク質の発現変化とそれらに対するベタインの効果をウェスタンブロットで確認する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (11件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (9件)

  • [雑誌論文] Emotional behaviors as well as the hippocampal reelin expression in C57BL/6N male mice chronically treated with corticosterone2023

    • 著者名/発表者名
      Ibi Daisuke、Nakasai Genki、Sawahata Masahito、Takaba Rika、Kinoshita Maho、Yamada Kiyofumi、Hiramatsu Masayuki
    • 雑誌名

      Pharmacology Biochemistry and Behavior

      巻: 230 ページ: 173617-173617

    • DOI

      10.1016/j.pbb.2023.173617

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Ethopharmacological evaluation of antidepressant-like effect of serotonergic psychedelics in C57BL/6J male mice2023

    • 著者名/発表者名
      Takaba Rika、Ibi Daisuke、Yoshida Keisuke、Hosomi Eri、Kawase Ririna、Kitagawa Hiroko、Goto Hirotaka、Achiwa Mizuki、Mizutani Kento、Maeda Kyosuke、Gonzalez-Maeso Javier、Kitagaki Shinji、Hiramatsu Masayuki
    • 雑誌名

      Naunyn-Schmiedeberg's Archives of Pharmacology

      巻: in press 号: 5 ページ: 3019-3035

    • DOI

      10.1007/s00210-023-02778-x

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] セロトニン作動性幻覚薬「DOI」の抗うつ様作用に関わる外側中隔核の神経活動とセロトニン5-HT2A受容体の役割2023

    • 著者名/発表者名
      高羽里佳、衣斐大祐、渡邊香輝、荒川真夕、細見衣里、間宮隆吉、平松正行
    • 学会等名
      第143回日本薬理学会近畿部会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 前脳特異的コレシストキニン受容体2過剰発現マウスの行動変化に対するカンナビジオールの作用2023

    • 著者名/発表者名
      橋本頼奈、間宮隆吉、金 雲清、衣斐大祐、平松正行
    • 学会等名
      第69回日本薬学会東海支部大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 恐怖条件付け記憶の想起、消去におけるセロトニン5-HT2A受容体の関与2023

    • 著者名/発表者名
      桒名将希、衣斐大祐、間宮隆吉、平松正行
    • 学会等名
      第69回日本薬学会東海支部大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] セロトニン5-HT2A受容体活性化薬のin vitroハイスループットアッセイ系確立の試み2023

    • 著者名/発表者名
      大倉杏菜、衣斐大祐、吉田圭佑、水本秀二、間宮隆吉、山田修平、北垣伸治、平松正行
    • 学会等名
      第69回日本薬学会東海支部大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 慢性的社会敗北ストレス曝露マウスで認められる社会的回避行動に対するシロシンおよびケタミンの効果2023

    • 著者名/発表者名
      木下真由華、衣斐大祐、高羽里佳、吉田圭佑、間宮隆吉、北垣伸治、平松正行
    • 学会等名
      第69回日本薬学会東海支部大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] マウスにおけるシロシンの抗うつ様作用に関する視床下部のGABA作動性神経伝達の役割2023

    • 著者名/発表者名
      藤原つづみ、衣斐大祐、高羽里佳、吉田圭佑、間宮隆吉、北垣伸治、平松正行
    • 学会等名
      第69回日本薬学会東海支部大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] β-Amyloid peptide (25-35) 脳室内投与モデルマウスにおけるcaspase-3 に対するベタインの影響2023

    • 著者名/発表者名
      湯澤優大、衣斐大祐、近藤早梨、飯見 凌、間宮隆吉、平松正行
    • 学会等名
      次世代を担う若手のための創薬・医療薬理シンポジウム2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] シロシンの抗うつ様作用における責任脳領域及び関連神経系の探索2023

    • 著者名/発表者名
      村上漱馬、衣斐大祐、高羽里佳、吉田圭佑、高野一輝、間宮隆吉、北垣伸治、平松正行
    • 学会等名
      次世代を担う若手のための創薬・医療薬理シンポジウム2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] アルツハイマー型認知症モデルマウスへのベタイン連続飲水が学習・記憶障害及びアミロイドタンパク質代謝経路に与える影響2023

    • 著者名/発表者名
      松村和弥、衣斐大祐、角谷佳保里、織田理紗子、間宮隆吉、平松正行
    • 学会等名
      次世代を担う若手のための創薬・医療薬理シンポジウム2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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