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Keap1阻害薬のNrf2非依存的な抗炎症作用機序の解明~脳疾患への応用~

研究課題

研究課題/領域番号 23K06160
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分47040:薬理学関連
研究機関神戸薬科大学

研究代表者

泉 安彦  神戸薬科大学, 薬学部, 講師 (60456837)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
キーワードNrf2-ARE経路 / 抗炎症作用 / ミクログリア / Keap1-Nrf2-ARE経路
研究開始時の研究の概要

本研究の目標は、Keap1阻害薬の抗炎症作用機序の解明と脳疾患治療薬としての応用である。未だ明らかにされていないKeap1阻害薬の抗炎症作用機序をKeap1結合タンパクを同定することから試みる。続いて、神経炎症が関与する神経・精神病態モデルでのKeap1阻害薬の有効性を示すことで、Keap1阻害薬の治療薬としての可能性を模索する。本研究では、Keap1阻害薬をNrf2の活性化薬ではなく、システイン残基の修飾薬という視点から、薬物自身によるタンパク質の翻訳後修飾が生体機能を調節するという新しい概念から創薬を目指す。

研究実績の概要

本研究の目標は、Keap1阻害薬の抗炎症作用機序の解明である。Keap1は転写因子Nrf2の抑制分子であり、Keap1阻害薬はNrf2の核内移行を促進し、抗酸化タンパク質の発現を誘導する。Keap1阻害薬の多くは、抗炎症作用を有するが、Nrf2が関与しない可能性がある。本研究では、Nrf2が関与しないKeap1阻害薬の抗炎症作用機序を解明することを目指す。本年度は、Keap1阻害薬が結合するタンパク質を同定するため、ビオチン化Keap1阻害薬の全合成を試み、部分的な合成に成功した。また、予備的な検討から、Toll様受容体からMAPK経路に関与するタンパク質が候補である可能性が高かった。そこで、interleukin-1 receptor-associated kinase-1(IRAK-1), TGF-beta activated kinase 1(TAK1), Tumor progression locus 2 (TPL2)のキナーゼ活性を検討したところ、Keap1阻害薬は、TAK1およびTPL2活性を抑制した。したがって、Keap1阻害薬は、Toll様受容体からMAPK経路に関与するキナーゼを直接阻害することで、抗炎症作用を示すことが示唆された。
また、本研究の第2の目標は、Keap1阻害薬の新たな疾患治療への応用である。Nrf2-ARE経路の活性化薬であるフマル酸ジメチルは、詳細な機序は不明だが、欧州で乾癬に適応がある。乾癬は、皮膚の炎症症状を伴い、皮膚の肥厚・紅斑・鱗屑を生じる疾患である。この病態形成にマクロファージの炎症性活性化が関与する。本年度は、マクロファージに対するKeap1阻害薬の抗炎症作用を検討した。マクロファージ系J774株化細胞および腹腔マクロファージにおいて炎症性サイトカイン発現を、Keap1阻害薬は濃度依存的に抑制した。さらに、その抑制効果は抗酸化物質の作用は強かった。そして、その機序としてIRAK-1には影響を与えず、MAPK経路の抑制が関与することを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ビオチン化Keap1阻害薬の全合成は完遂できていないが、順調に進捗している。ビオチン化Keap1阻害薬が合成できれば、網羅的な検討が可能になり、さらなる進展が見込まれる。ビオチン化Keap1阻害薬の全合成の成否に関わらず、Keap1結合タンパクの候補を見出したことから、滞りなく進捗できると考えられる。

今後の研究の推進方策

本年度の検討から、Keap1阻害薬の直接的な標的タンパク質がTAK1およびTPL2である可能性が浮上した。実際、Keap1阻害薬がTAK1およびTPL2に結合するのか、どのアミノ酸に結合するのか、質量分析により明らかにする。引き続き、ビオチン化Keap1阻害薬の全合成を目指し、完成した際は、網羅的な解析を行い、Keap1阻害薬の新たな作用や副作用に繋がる標的を探索する。Keap1阻害薬が大量に合成できるようになれば、in vivo乾癬モデルへの適用が可能になり、さらに研究を推進することができる。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Isolation and Purification of Harpagogenin as an Nrf2–ARE Activator from the Tubers of Chinese Artichoke (<i>Stachys sieboldii</i>)2023

    • 著者名/発表者名
      Izumi Y, Kataoka H, Takada-Takatori Y, Koyama Y, Irie K, Akaike A, Kume T.
    • 雑誌名

      Biological & Pharmaceutical Bulletin

      巻: 46 号: 11 ページ: 1576-1582

    • DOI

      10.1248/bpb.b23-00383

    • ISSN
      0918-6158, 1347-5215
    • 年月日
      2023-11-01
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 抗酸化ストレス応答転写因子Nrf2の活性化物質探索と作用解析2024

    • 著者名/発表者名
      泉安彦、武田紀彦、八巻耕也、久米利明、上田昌史、小山豊
    • 学会等名
      日本薬学会第144年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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