研究課題/領域番号 |
23K06168
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47040:薬理学関連
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
根本 亙 東北医科薬科大学, 薬学部, 講師 (80635136)
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研究分担者 |
丹野 孝一 東北医科薬科大学, 薬学部, 教授 (20207260)
中川西 修 東北医科薬科大学, 薬学部, 准教授 (50296018)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | TNF-α変換酵素 / 糖尿病 / 神経障害 / db/dbマウス / 疼痛 / 脊髄 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では腫瘍壊死因子 (TNF-α) 変換酵素 (TACE) の神経障害性疼痛における役割の解明と疼痛治療の新規治療標的としてのTACEの可能性を探る.特に,神経障害性疼痛下におけるTACEのターゲット分子を解明することで,膜タンパク質の構成変化を介した新たな疼痛発現機構の解明を目指した基礎研究を行う.
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研究実績の概要 |
本研究は腫瘍壊死因子 (TNF-α) 変換酵素 (TACE) の神経障害性疼痛における役割の解明を目的とし,膜結合型プロテアーゼを介した新たな疼痛発現機構の解明を目指したものである.実験には2型糖尿病モデルであるレプチン受容体変異型db/dbマウスを使用し,このマウスにおいて認められる痛覚過敏に対する脊髄内TACEの関与を検討した. db/dbマウスは7週齢から10週間程度の間,高血糖に依存した痛覚過敏,すなわち有痛性糖尿病性神経障害 (PDN) を呈した.PDN下にある9週齢のdb/dbマウスの脊髄背側部では,TACEの前駆体であるpro-TACEおよび成熟型であるmature-TACEの発現量がいずれも顕著に増加していた.一方で,内因性TACE阻害因子であるtissue Inhibitor of metalloproteinases 3 (TIMP-3) の発現量に変化は認められなかった.従って,db/dbマウスの脊髄ではTACEが活性化状態にあることが明らかとなった. TACEは70種類以上の膜タンパク質の分解に寄与することが知られている.これらの中でも,脊髄内において疼痛伝達に関与することが知られているいくつかの膜タンパク質の発現量を解析した.野生型 (WT) およびdb/dbマウスの脊髄から細胞膜画分を濃縮したサンプルを作製し,TACEの標的分子として知られている各種膜タンパク質の発現量を検討した.その結果,interleukin (IL)-6 receptors,Heparin-binding EGF-like growth factors (HB-EGF),TNF-α receptor 1/2の発現量に変化は認められなかったものの,angiotensin-converting emzyme 2 (ACE2) の発現量が顕著に低下していることが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,有痛性糖尿病性神経障害 (PDN) 下のdb/dbマウスを用いて,TACEの標的となり得る分子のスクリーニングまで研究を進めることが出来た為.
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下のようなスケジュールで研究を進める予定である. 2024年度:TACEの標的分子の中から発現量の変化が認められたACE2に着目し,脊髄内のどの細胞腫で発現量が変化しているのか詳細な解明を試みる.具体的にはdb/dbマウスおよびWTマウスの脊髄スライスを作製し,TACEやACE2を神経やグリア細胞の特異的マーカーと共染色した後,それぞれの細胞数をカウントする.また,疼痛反応に対するTACEの関与を解明する目的で,TACEに対する阻害薬やsiRNAを脊髄クモ膜下腔内へ投与した際の疼痛変化も解析する.尚,疼痛試験にはvon Frey法およびHargreaves法を用いることで,それ ぞれ接触性および熱性痛覚過敏を測定する. 2025年度:前年度の試験においてTACEに対する阻害薬やsiRNAに鎮痛効果が認められた場合,これらの薬物によりTACE活性を抑制した際のACE2の発現量をウエスタンブロット法により解析する.また,TACEは活性酸素種 (ROS) 依存的に活性化されることから,ROS阻害薬であるN-アセチルシステインをdb/dbマウスやSNIマウスへ投与した際の疼痛に対する変化と,脊髄におけるTACEの発現に及ぼす影響を解析する.
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