研究課題/領域番号 |
23K06173
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47040:薬理学関連
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
山橋 幸恵 藤田医科大学, 医科学研究センター, 助教 (00793481)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 学習・記憶障害 / ムスカリン受容体M1R / Rac1 / PAKキナーゼ / アセチルコリン / アルツハイマー病 / シグナル伝達 / 低分子量G蛋白Rac1 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ドネペジルを用いたAChのシグナル解析を基に、ADの分子病態、学習・記憶障害、神経細胞死とAChシグナルの関連メカニズムを解明することを目的としている。2023年度には、脳領域におけるドネペジルの細胞内シグナル伝達解析を行う。2024年度には、AD患者由来iPS細胞を用いてin vitro レベルでの病態解析を行う。2025年度には、AD疾患モデルマウスを用いてin vivo レベルでの病態解析を行う。
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研究実績の概要 |
アセチルコリン(ACh)は、学習・記憶に重要であることが知られている。しかし、そのシグナル伝達機構については、ムスカリン性ACh受容体M1Rの重要性は認識されているが、下流の経路は不明であった。最近、AChが側坐核においてM1R-PKC-Rac1-PAK経路を活性化し、忌避行動学習を亢進することを明らかにした。動物実験において学習・記憶障害の治療薬の評価対象に忌避行動学習が使われている。同定したACh-M1R-PKC-Rac1-PAK経路が認知症に見られる学習・記憶障害の新治療戦略の創出に繋がることが示唆される。本研究では、Rac1シグナルの学習・記憶障害の治療標的としての可能性を明らかにして、認知機能障害の治療薬の創薬基盤を確立することを目的とする。本年度は、1)AChが放出される脳領域におけるRac1シグナルの解析、2)認知機能におけるRac1シグナルの評価に取り組み、以下の研究結果を得た。 1)AChが放出される脳領域におけるRac1シグナルの解析:ex vivo海馬スライスをM1R特異的作動薬で刺激し、Rac1-PAKシグナルが活性化されることをイムノブロット法により明らかにした。また、野生型マウスへの嫌悪刺激(電気フットショック)が海馬のCA1領域及び前頭前皮質の前辺縁皮質においてRac1-PAKシグナルが亢進し、この亢進はM1R特異的作動薬の投与により増幅することを組織免疫染色法により明らかにした。 2)認知機能におけるRac1シグナルの評価:70種類あるRho-GAPの内、BCRがRac1に対して特異性が高く、効率性の良い不活性化因子Rac1-GAPであることを見出した。野生型成体マウスを用いて、miRNAによるBCRの欠損による側坐核におけるRac1の活性化が忌避行動学習を亢進することを見出した (Wang et al., IJMS, 2023)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、Rac1シグナルの学習・記憶障害の治療標的としての可能性を明らかにすることを目標にして、AChが放出される脳領域におけるRac1シグナルの解析をした。AChが線条体・側坐核のみならず、海馬及び前頭前皮質においても上記のM1R-Rac1-PAK経路を活性化することを明らかにした。また、野生型成体マウスを用いて、miRNAによるRac1GAP (Rac1不活性化因子) BCRの欠損による側坐核におけるRac1の活性化が忌避行動学習を亢進することを明らかにした。 以上、認知機能障害の治療標的としてのRac1の可能性を示唆する知見を得つつある。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、以下の項目について、解析を行う予定である。 1)AChが放出される脳領域におけるRac1シグナルの解析:本年度に引き続き、AChの放出される海馬や前頭前皮質などの脳領域におけるM1R特定的作動薬の細胞内シグナル伝達解析を行う。これを基に、認知症に見られる学習・記憶障害の改善に有効な脳部位を特定する。具体的には、野生型マウスやアルツハイマー病(AD)疾患モデルマウスにM1R特定的作動薬を投与し、海馬や前頭前皮質などにおいてM1R-PKC-Rac1-PAK経路が活性化されるのかをイムノブロット法及び組織免疫染色法により検証する。 2)認知機能におけるRac1シグナルの評価:海馬及び前頭前皮質でのRac1シグナルが認知記憶、連合学習、情動記憶を制御するのかを検証する。そのために、不活性型Rac1変異体、活性型Rac1変異体、BCR Rac1GAPドメイン、BCR miRNAなどを発現するAAVを野生型マウスの海馬及び前頭前皮質に導入し、新奇物体認識試験、文脈恐怖条件付け試験、Y-迷路実験、受動回避試験を行う。次に、海馬及び前頭前皮質におけるM1RやRac1の活性化がAD疾患モデルマウスの学習・記憶障害を改善するかを検証する。このため、海馬や前頭前皮質にGq-DREADD、活性型Rac変異体、BCR miRNAなどを発現するAAVを導入し、新奇物体認識試験、文脈恐怖条件付け試験、Y-迷路実験、受動回避試験を行う。
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