研究課題/領域番号 |
23K06176
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47040:薬理学関連
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
河下 映里 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (80509266)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 新生児低酸素性虚血性脳症 / α2アンチプラスミン / ニューロセルピン / 神経新生 / 線溶 / アンチプラスミン / セルピン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、神経再生療法が確立しておらず有望な治療薬もない新生児低酸素性虚血性脳症(HIE)に対して、α2アンチプラスミン(α2AP)の機能抑制による神経新生促進効果および新生神経細胞の傷害部への移動促進効果を検証する。さらに、虚血による神経毒性を抑制する因子としてニューロセルピン(NSP)に着目し、α2AP機能抑制とNSP投与のコンビネーションにより、HIEに対する神経再生療法のさらなる高効率化を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、有望な治療薬のない新生児低酸素性虚血性脳症(HIE)に対して、α2アンチプラスミン(α2AP)の機能抑制による内在性神経新生促進および行動学的神経機能の改善効果を検証することを目的とする。さらに、虚血による神経毒性を抑制する因子としてニューロセルピン(NSP)に着目し、α2AP機能抑制とNSP投与のコンビネーションにより、HIEに対する新規薬物療法の提示を目指す。具体的には、総頸動脈結紮・低酸素負荷によるHIEマウスモデルにおける脳傷害、内在性神経新生および行動学的神経機能に対するα2APおよびNSP欠損の影響を明らかにし、さらにこれらの病態に対する抗α2AP中和抗体およびNSP投与の影響を明確にする。当該年度では、軽度の新生児HIEモデルにおいて、NSPの脳室内単回投与により脳傷害および酸化ストレスが有意に抑制されることを見出した。また、新生児期の大脳皮質におけるNSP発現パターンとHIによる脳傷害パターンに相関性がみられたことから、少なくとも軽度HIEでは、内因性NSPがHIE病態形成に関連していることが示唆された。HIEモデルにおける虚血誘発性の内在性神経新生に対するα2AP欠損の影響については検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、軽度のHIEマウスモデルにおける大脳皮質傷害および酸化ストレスが、NSPの脳室内単回投与により抑制されることを明らかにした。一方、新生児HIEマウスにおける内在性神経新生に対するα2AP欠損の影響については解析中であるが、成体マウスでの虚血誘発性神経新生がα2AP欠損により促進されることを見出している。したがって、HIEに対するα2AP機能の抑制とNSP投与のコンビネーション治療効果を検証するという本研究目的を達成するための、基盤となる研究成果は得られてきており、本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度および最終年度では、HIEマウス脳での内在性神経新生に対するα2AP欠損および抗α2AP中和抗体投与の影響を解析し、α2AP機能抑制による神経新生促進効果を明確にする。さらに、軽度HIEマウスに抗α2AP中和抗体およびNSPを併用投与し、内在性神経新生や脳炎症、脳成熟化、行動学的神経機能障害に対する効果を検証する。一方、重篤な脳損傷を呈するHIEマウスにおいては、NSPを一回投与するだけでは神経保護効果がみられないことが明らかになったため、新生児マウス脳内へのNSPの反復投与法の確立を目指した検討も進める。
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