研究課題/領域番号 |
23K06189
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47050:環境および天然医薬資源学関連
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研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
前原 昭次 福山大学, 薬学部, 准教授 (40368783)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | SARS-CoV-2 / エンドファイト / 薬用植物 / COVID-19 / ヨモギ |
研究開始時の研究の概要 |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、SARS-CoV-2を原因ウイルスとする感染症で、強い感染力によって世界規模の感染拡大をみせている。本感染症の治療薬に関しては、いまだ多くの薬剤が開発段階であり、医療の現場では治療の選択肢が限定されている。そこで、新たな治療薬を開発するために、多様性豊かな植物と共生する微生物(エンドファイト)に注目した。 即ち、薬用植物由来のエンドファイト培養エキスの抗SARS-CoV-2活性を測定し、ウイルスの増殖抑制効果を調べるとともに、効果のあった抽出成分中に含まれる抗SARS-CoV-2活性物質の同定を行うことで、新規治療薬の候補物質を探索する研究である。
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研究実績の概要 |
【具体的内容】 これまでのウイルスに対する増殖抑制試験で効果のあったヨモギについて、薬用植物を採集した。採集した植物断片の表面滅菌後、寒天培地上で成育したコロニーからエンドファイトを分離し、得られた全てのエンドファイトのDNA抽出を行い、ITS領域の塩基配列をもとにデータベース検索の結果をもとに同定を行った。 得られたエンドファイトを用いて、液体培地中、同一条件下で培養を行い、有機溶媒を用いて抽出を行った。これらを減圧下濃縮したものを培養エキスとして、それぞれの質量を計量し、活性試験用のサンプルを作成する。 各エキスについて国立感染症研究所においてウイルス増殖試験を行った。また、In vitroにおける抗SARS-CoV-2活性試験として、SARS-CoV-2由来3CLプロテアーゼの阻害活性を測定し、3CLプロテアーゼ阻害活性をもつエンドファイト培養エキスを特定した。特定したエンドファイトエキスの成分を分離し、各分画における3CLプロテアーゼ阻害活性を測定したところ、活性本体と考えられる成分の分離に成功した。 【意義とその重要性】 本研究のこれまでの成果は、研究の目的である”エンドファイトを利用したSARS-CoV-2の増殖抑制物質の発見”に寄与するものであり、医薬品シーズ探索法のひとつとしてのエンドファイト利用の門戸を開く研究結果である。また、分画成分の活性測定により活性本体の特定に成功したことは、今後のヨモギエンドファイト培養エキス中の抗SARS-CoV-2活性物質の同定(特定)に繋がる成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでのウイルスに対する増殖抑制試験で効果のあったヨモギについて、薬用植物を採集した。採集した植物断片の表面滅菌後、寒天培地上で成育したコロニーからエンドファイトを分離し、得られた全てのエンドファイトのDNA抽出を行い、ITS領域の塩基配列をもとにデータベース検索の結果をもとに同定を行った。 得られたエンドファイトを用いて、液体培地中、同一条件下で培養を行い、有機溶媒を用いて抽出を行った。これらを減圧下濃縮したものを培養エキスとして、それぞれの質量を計量し、活性試験用のサンプルを作成する。 各エキスについて国立感染症研究所においてウイルス増殖試験を行った。また、In vitroにおける抗SARS-CoV-2活性試験として、SARS-CoV-2由来3CLプロテアーゼの阻害活性を測定し、3CLプロテアーゼ阻害活性をもつエンドファイト培養エキスを特定した。ここまでの内容について論文を執筆し学術雑誌において掲載された。(Sep. 2023, Journal of Fungi, 905., Maehara, S. et al. Anti-SARS-CoV-2 Agents in Artemisia Endophytic Fungi and Their Abundance in Artemisia vulgaris Tissue. DOI: 10.3390/jof9090905) 上記で特定したエンドファイトエキスの成分を分離し、各分画における3CLプロテアーゼ阻害活性を測定したところ、活性本体と考えられる成分の分離に成功した。 以上のことから本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
「ヨモギを用いた研究について」 ・ヨモギエンドファイトの培養エキスの分画のうち、活性本体となる成分の化学構造の特定と本化合物のSARS-CoV-2のウイルス増殖抑制試験を行う。 「他の植物(ニチニチソウ)を用いた研究について」 ・ニチニチソウからエンドファイトの分離し、得られたエンドファイトについて同定を行う。 ・ニチニチソウエンドファイトの培養エキスを作成し、成分の分離・分析を行う。また、ニチニチソウ以外の植物についても選定しエンドファイトの分離の準備を行う。
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