研究課題/領域番号 |
23K06190
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47050:環境および天然医薬資源学関連
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研究機関 | 長崎国際大学 |
研究代表者 |
藤井 佑樹 長崎国際大学, 薬学部, 准教授 (80610063)
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研究分担者 |
小関 準 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域 細胞分子工学研究部門, 主任研究員 (20616669)
大関 泰裕 横浜市立大学, 理学部, 教授 (70275022)
鎌田 健一 横浜市立大学, 生命医科学研究科, 共同研究員 (80936568)
J・R・H Tame 横浜市立大学, 生命医科学研究科, 教授 (00336588)
川嵜 達也 長崎国際大学, 薬学部, 講師 (70722073)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 人工レクチン / ガングリオシド / シアル酸 / β-トレフォイル型 / ムール貝 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者はガングリオシド糖脂質への結合を介すがん細胞の増殖抑制効果を解明した。本研究はで本レクチンを用いて、その骨格を計算科学で設計し直し、種々の構造を有すガングリオシド糖鎖と結合できる人工レクチンの開発に取り組む。ガングリオシドを発現する培養細胞に投与し、理論通りに糖鎖と結合して、抗がん作用を起こすかを実験的に解析する。本研究で任意のガングリオシド構造に結合する人工レクチンの設計法が開発する。
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研究実績の概要 |
私たちはこれまでにがん糖鎖Gb3に結合する天然レクチンを改変した人工レクチン、ミツバ-1の作製に成功している。レクチンの糖鎖結合能を保持しつつ、タンパク質の構造安定性の向上を目的に8000種類のβ-トレフォイル構造を計算科学で比較することで対称性に優れたタンパク骨格を見出すことに成功した。ミツバ-1はそれを骨格とすることで、糖鎖結合能を保持しつつ、室温でも長期保存が可能となった。本研究ではタンパク質の安定性の向上に加え、糖鎖結合能を改変する技術を確立することを目的として研究を計画した。 ミツバ-1を出発物質として、計算科学と分子軌道計算により、シアル酸に結合する新規人工レクチンを数種類デザインした。そのうち、人工レクチンCC-5 はシアル酸との相互作用が最も安定であることが計算科学により、推測された。これはCC-5の糖鎖認識部位にトリプトファンやヒスチジンを導入することで、シアル酸の相互作用を安定させていることが考えられる。CC-5の配列を挿入したプラスミドベクターを作製し形質転換を行うと、目的タンパク質CC-5は大腸菌1L培養あたり、1 mgのタンパク質発現に成功した。 精製CC-5を蛍光標識し、50種類の糖鎖が固定されたチップに加え、糖鎖結合能を解析した。その結果、ガラクトース結合能を消失したものの、シアル酸への結合は見られなかった。これは設計したCC-5は糖鎖の末端にあるシアル酸ではなく、単糖のシアル酸を認識していることが推察される。設計したレクチンはシアル酸含有糖鎖を認識しなかったものの、立体構造を保持しつつ、ある程度のタンパク量を発現することが可能な系の確立には至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
設多くのβ-トレフォイル構造は二量体を形成し安定性を保っている。しかし、β-トレフォイル型タンパク質を単量体化すると不溶化が度々起こることが知られる。設計したCC-5は単量体のβ-トレフォイル型タンパク質でありながら、立体構造を保持しながら、十分量のタンパク質発現を行うことが出来た。同時に当該年度、検討されたタンパク質発現条件は今後の人工レクチンの開発に役立てることができる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、分子動力学法と量子化学法を用いて、新たにシアル酸含有糖鎖を認識する人工レクチンの設計を行っていく。目的の糖鎖に結合する人工レクチンをより高い可能性で得られるように昨年度より、多い複数の配列をデザインし発現に取り組んでいくと共に安定してmgレベルのタンパク質を得られるような発現系を確立していく。設計・発現の進行度が順調である場合は分子ドッキング法によりSiaα2-3やSiaα2-6を識別できる人工レクチンも開発していくことも検討する。発現した人工レクチンが設計通りの立体構造を保持しているかを、X線結晶構造解析、円偏光二色性(CD)スペクトルにより解析していく。
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