研究課題/領域番号 |
23K06193
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47050:環境および天然医薬資源学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
安藤 広和 金沢大学, 薬学系, 准教授 (00768731)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ポリフェノール / 育種 / 麻黄 / 栽培 |
研究開始時の研究の概要 |
近年麻黄の含有成分としてポリフェノールが注目されており,アルカロイドだけでは説明できない薬理作用などが種々報告され,麻黄におけるポリフェノールの重要性が増している。本研究ではポリフェノールの多様性を解明し,高含量株を育種によって作り出すことを目的とした。これまでにアルカロイド含量をコントロールした系統を育種しており,これらを合わせることで処方,患者,用途など使用者の目的に対応した麻黄の開発に繋がると考えている。目的を達成するための方法として,一次,二次代謝物の分析や遺伝子発現解析などにより,多様性を明らかにし,得られた知見から育種マーカーの開発,高含量となる栽培法の開発を行う。
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研究実績の概要 |
近年麻黄の含有成分としてポリフェノールが注目されており,アルカロイドだけでは説明できない薬理作用などが種々報告され,麻黄におけるポリフェノールの重要性が増している。本研究ではポリフェノールの多様性を解明し,育種によって高含量株を作り出すことを目的とした。今年度は多様性の解明としてこれまでの研究で得られた優良系統50株におけるポリフェノールの季節変動を調査した。サンプリングは6月から12月にかけて実施し,2週間に1度,計14回実施した。総ポリフェノール含量の測定はFolin-Ciocalteu法を採用し,同時にDPPHラジカル消去活性,総アルカロイド含量の測定を実施した。その結果,各個体の総ポリフェノール含量は概ね1.2-11.2%GAEの範囲であり,14回の測定におけるRSDは0.28と小さい値であった。マオウ属植物のポリフェノール含量は植物の成長や日長,紫外線の影響を受けず,萌芽以降一定の値を維持していることが明らかになった。一方,個体別では高含量株と低含量株の差異は最大で9倍もあり,総ポリフェノール含量の決定には遺伝的影響が大きいと考えられる。また,同時に測定したDPPHラジカル消去活性及も総ポリフェノール含量と同様の季節変動を示した。 総ポリフェノール含量と総アルカロイド含量の関係を調査したところ,正の相関が認められた。一方,総ポリフェノール高含量株では回帰直線から大きく外れる個体が多数見られた。50株の中で総ポリフェノール含量が2番目に高い個体はアルカロイドをほとんど含まない株であった。また,総アルカロイド含量が0.5%の個体では総ポリフェノール含量が0.47-11.2%GAEと多様性に富む結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は優良系統50株におけるポリフェノールの季節変動を調査した。マオウ属植物のアルカロイド含量は収穫時期により異なることが報告されている。ポリフェノールの多様性を解明するためには収穫時期及び実験株の選定が不可欠であり調査を行った。その結果,総ポリフェノール含量は地上茎の伸長後,安定した含量を保っており,特に高含量の個体では季節変動が小さく収穫時期の影響を受けないことが明らかになった。実験株の選定では総アルカロイド含量が同一の個体であっても総ポリフェノール含量が大きく異なる株が明らかになった。以上,今年度の成果より概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策として,次年度はLC/MSやGC/MSなどを用いた網羅的解析を実施する予定である。初年度に明らかになった特徴的なポリフェノール含量を有する株を用いて,網羅的解析を実施し,多様性の解明を行う。栽培研究ではポリフェノールの高含量化を志向した肥料実験等を実施し,これまでの研究成果と合わせてポリフェノールに特化した新品種の開発を行う。
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