研究課題/領域番号 |
23K06195
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47050:環境および天然医薬資源学関連
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
前田 伸司 北海道科学大学, 薬学部, 教授 (50250212)
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研究分担者 |
藤原 永年 帝塚山大学, 現代生活学部, 教授 (80326256)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 抗酸菌 / MAC / 血清型特異糖ペプチド脂質 / 宿主免疫応答 |
研究開始時の研究の概要 |
日本国内では、非結核性抗酸菌感染症患者数が増加しており、その起因菌の8割以上がMAC菌である。MAC菌は、細菌表層に血清型特異糖ペプチド脂質 (GPL)を発現し、その構造に依存して分離株の病原性が異なることから、宿主の免疫応答に関与する因子として報告されている。 GPL構造と宿主免疫応答との相関を明らかにするために、①GPL構造と生合成遺伝子の同定、②GPL構造に依存した宿主免疫応答、特にToll様受容体への反応性について解析する。 病原性に関連したGPL構造と生合成機構・免疫応答の解明により、抗菌薬やワクチンなどの開発が可能となる。本研究の成果は、新規の感染症対策のひとつとなる。
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研究実績の概要 |
日本国内では、非結核性抗酸菌感染症患者数が増加しており、その起因菌の8割以上がMycobacterium avium complex(MAC)である。抗酸菌の細胞壁は、脂質成分に富むことが特徴で、MAC菌はさらに細菌表層に血清型特異糖ペプチド脂質(glycopeptidolipid, GPL)を発現している。GPLは、感染時に宿主免疫システムと最初に接触する分子で、構造に依存して菌の病原性が異なり、免疫応答に直接関与する因子のひとつである。この分子に注目し、新規抗酸菌薬やワクチン開発につなげる研究を行う。GPL構造と免疫応答との相関を明らかにするために、①GPL構造と生合成遺伝子の同定、②GPL構造に依存した宿主免疫応答、特にToll様受容体への反応性について解析を行う。病原性に関連したGPL構造と生合成機構・免疫応答の解明により、GPL合成経路を標的とした抗菌薬やワクチンなどの開発が可能となる。 本年度の研究では、臨床分離株のMycobacterium intracellulare ku11株の新規GPL構造が、このGPL領域をプラスミドで血清型1型菌に導入することにより再現することができた。この結果に基づき、さらに、GPL合成酵素クラスター上の一部遺伝子を欠損させたプラスミドを構築して、血清型1型菌を形質転換し、発現したGPL構造を解析することで各遺伝子の機能の確認を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床分離株であるM. intracellulare ku11株が持つ新規GPL合成酵素クラスター領域のDNA断片(10-15 kbp)を抗酸菌の発現ベクターであるpVV16プラスミドに導入して、1型GPLを発現するNF113株を形質転換した。得られたコロニーのGPL構造を薄層クロマトグラフィー(TLC)で分析すると、糖鎖が6個結合したku11株のGPL構造が、NF113株由来の変異株で発現していることが確認できた。 そのため、CRISPR-Cas9法で各遺伝子破壊変異株を作製することと並行して、ku11株のGPL合成酵素クラスター上の一部遺伝子を欠損したプラスミドを構築し、NF113株を形質転換した。得られた変異株のGPL構造を分析し、各ORF機能の確認を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
ku11株が持つGPL合成酵素クラスター領域のDNA欠損変異株のGPL構造分析で、ku11株のGPL合成メカニズムを明らかにする。 2024年度は、当初の計画通り、GPL構造とトール様受容体(TLR)との反応性の関連を調べるためのレポータージーンアッセイのための細胞の準備と他の血清型のGPL発現変異株の作製を進める。
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