研究課題/領域番号 |
23K06201
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47050:環境および天然医薬資源学関連
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研究機関 | 岐阜医療科学大学 |
研究代表者 |
伊藤 哲朗 岐阜医療科学大学, 薬学部, 教授 (20457906)
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研究分担者 |
山田 明義 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (10324237)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | カキシメジ / ウスタル酸 / 子実体 / 菌根 / 質量分析 / 高速液体クロマトグラフ / 質量分析イメージング / ケモタキソノミー / メタボローム解析 / イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
カキシメジ (Tricholoma kakishimeji) による中毒原因物質はウスタル酸である.カキシメジ類について,形態学的解析と分子系統学的解析(遺伝子の情報)に基づく分類が行われたことを受け,本研究ではカキシメジ及びその近縁種の二次代謝系と分子系統の関連を精査する.有毒成分であるウスタル酸代謝物のメタボロームプロファイリングを行うとともに,子実体内の局在を可視化する.毒化キノコプロファイリング同定システムの構築により,食と毒の境界を明示する.
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研究実績の概要 |
カキシメジとその近縁種(すなわちカキシメジ類)は分類学的に不明確であったため,種ごとのウスタル酸の含有状況は未解明であった.本課題ではその近縁種の分子系統学的及び形態的学解析を通して採取した子実体検体を用いて成分分析①及び②を実施することにより,キノコ中毒の主な原因菌はカキシメジであることの根拠を示すことができた.きのこ中毒を予防するための公衆衛生の政策では,本研究で得られた学術的知見は反映されていない. ①質量分析イメージングを用いたキノコの有毒成分の子実体組織内分布の可視化を目指した.カキシメジ子実体中のウスタル酸を指標成分とした組織内分布の可視化を行った結果,成長段階の異なる子実体いずれからもウスタル酸を検出することに成功,幼若キノコでは高蓄積することを突き止めた.また、ウスタル酸及び推定代謝物は子実体の成長段階により,組織内分布が変動することが分かった. ②高速液体クロマトグラフ-質量分析計を用いたウスタル酸の分析を行い,カキシメジ子実体からのみウスタル酸を検出し,他のカキシメジ属(マツシメジ等) からは不検出であったため,これらは無毒で食中毒の原因菌にならないと帰納された. 子実体検体に加えて,カキシメジを含めて種識別された カキシメジ属 (4種) の培養菌糸体,及び菌根から得られた抽出物を用いて高速液体クロマトグラフ-飛行時間型質量分析計を用いたウスタル酸の含有調査を実施したところ,カキシメジ菌根からウスタル酸を検出することに成功した.一方で菌糸体や他のカキシメジ属由来検体からはウスタル酸を検出されなかったことから,カキシメジによるウスタル酸の合成には菌根共生が必須であるという仮説を提唱するに至った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、a) ウスタル酸を含有する個体の選定とUA代謝物のプロファイリングイリングの実施、b) ウスタル酸代謝物のプロファイリング、及び c) 質量分析イメージングの従前結果の情報整理 の三項目を進めた。 a) については、研究分担者により長野県内にてアカマツ、コナラより発生したカキシメジ子実体を合計4検体採取することに成功した。これらの一部からは、成分分析を実施するための抽出物を調製するとともに、b) を遂行するための分析メソッドの設定に資することができた。 b) については、ウスタル酸の熱安定性試験を経て高速液体クロマトグラフ-飛行時間型質量分析計を用いた子実体抽出物から、ウスタル酸及びその代謝物と推定される四種の化合物由来のイオンの検出に成功した。加えて、二年目以降に立案している培養株・菌根の分析について、培養菌糸体及び菌根の抽出物を用いた分析を実施し、カキシメジによるウスタル酸の合成には菌根共生が必須であるという仮説を提唱することができた。 c) については、論文報告の喫緊性があると判断されたため、研究計画調書の「本研究の目的を達成するための準備状況」までの情報に基づいて、論文を投稿した。当該論文は令和5年度末においてminor revisionと審査され、6年度5月1日においては改定稿を提出中である。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までに得られた学術的知見は、きのこ中毒を予防するための公衆衛生の政策に反映されていない.国民への正確な情報発信に資するためには,より多検体の子実体を用いた検証が求められると判断される.そのため、今年度も代謝物分析に資する検体採取のため,中部地方山間部にて新規検体採取を継続する。 また、メタボローム解析の精度向上のため単離・構造解析された化合物を用いて質量分析におけるアノテーションの根拠を示す必要があるため、代謝物の単離と構造解析を進める。そのために前年度採取した子実体検体を用いた分離精製を進めることとする。 前年度実施した菌根及び菌糸体のメタボローム解析は,培養に用いる培地条件を限定しており且つ菌株数も限られるため、今年度はより多検体の菌根合成を進めメタボロームを精査することとする。 質量分析イメージングを進める目的は,子実体の成長過程におけるウスタル酸代謝物の出現と局在情報を視覚化することであり,それらの時空間動態を明らかにすることであるため,カキシメジ子実体発生状況に応じたタイムリーな検体採取と,研究協力者との緊密な連携体系を維持する.
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